ミソヒトの国

舎人

1 純白

早朝。

荒れに荒れた京郊外。

塵の積もるこの場所で、其の娘が歩く道──正確には歩いた道──だけは空気が、驚くほど澄んでいた。

そこだけ朝日で、満ちていた。

「ホステフ」

娘が発した声を合図に塵は消滅し、転がっていた木片は、ある家の柱の一部となった。

穢れを浄化するべく、其の娘は荒れた道を颯爽と進んでいく...




── 半刻後 ──

「終わった。今から帰るからね」

「りょーかい」

娘は走り去った。

後に初々しい白色に輝く町を残して。

そう云えば、あの娘の袴も純白であった様な...

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