十四章 「選択する」

「彼の未来が変わりますように」

 電車が彼に向かってきている時、私は強く願った。

 今は願うことしかできない。願うことでもし何かが変わるなら、私の力全て使って願ってもいい。明るい未来を信じている。

 電車と彼との距離がどんどん近づいてくる。私は「私を見つけて」とずっと彼を見つめていた。

 時間がいつもよりゆっくりに感じる。

 電車は急に止まった。あまりにも不自然な止まり方だった。

 ホームに急いで降りると、彼はそこにいた。

「大丈夫?」と声をかけると、彼は「なんともない」と驚いていた。

 太陽の光が私達を照らした。それは未来の光のようだと私は思った。

 私は深呼吸した。

 それから彼の未来を見て、彼に飛びついた。

「未来が変わったよ。私達はやったんだよ! 諒は今日死なないんだよ」

「本当に? うまくいったんだね」

 彼から体の力が抜けた。今までかなり不安だったのだろう。

「萌に救われたよ。ありがとう」

「私は好きな人を、愛しただけだよ」

 しばらくして救急隊が来て、彼は病院に運ばれていった。

 私が愛し抜くことを選ぶように、未来は選ぶことができる。色々な選択の上に、今の私がいる。私達は自分で未来を選んだのだった。

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