スクールデイズ
ピート
受験生が恋しちゃいけないなんて、誰が決めたんだろ?
確かに、大切な時期なのはわかる。だからって、こんな気持ちかかえたまま勉強なんてできないよ。
そう、俺は恋をしている。そして、彼女も……。
一、二年と同じクラスだった、青木 遼子とは三年になってから、クラスは変わってしまったけど仲の良い友達だ……。
この関係が壊れてしまうのが怖くて、ずっと友達のまま過ごしてきた。ましてや、彼女の中では、俺は友達以上の存在にはならないようだ。
「ねぇ、昌也?聞いてるの?」
「あ、あぁ聞いてるよ。お前の愛しい真人には、好きな女がいるかもしれないっていうんだろ?」
「わぁ、声が大きいよ!昌也!!」慌てて口にフタをしようとする。
「お前の声のがデカイよ」呆れ顔でつぶやいた。なんで気付かないかねぇ、俺はこんなにもお前だけを見てきてるっていうのにさ・・・。
キーン コーン
予鈴が鳴り響く。
「早く教室戻れよ!遅刻すっぞ」
「また後で聞いてくれる?」
「わかってるよ、放課後な」返事を聞くと、慌てて教室から出て行った。
何度目だろ?あの鈍感娘の相談をきくのは……。
遼子は別に女友達がいないわけじゃない。ただ、そういう事を同姓に相談するのが苦手なんだそうだ。だからって、俺に相談するなよなぁ……。ため息がこぼれる。
さて、放課後に備えて、勉学に勤しむとしますかね……教科担任がちょうど教室にはいってきた。
バタバタバタバタ!!
すごい勢いで遼子が教室にやってきた。授業終わって、まだ間もないぞ?
「昌也、ハァハァ……お、お待たせ」よほど急いできたのか、呼吸が乱れている。
「なんで、走ってくるんだよ?約束したんだから、いつも来るまで待ってるだろ?」
「だって、私の都合で待たせちゃ悪いでしょ?」
「いい心がけだ。じゃぁ、相談料はジュースで勘弁しといてやるよ」
「本気で言ってる?」覗き込むように俺を見つめる。
「冗談だよ、急いできたから、逆にオゴッてやるよ」そんな目で見るなよ。ドキドキするじゃんか。
「本当?ありがとう」この笑顔が可愛いんだよな。……何やってんだろね、俺は?
「で?愛しい真人君には、どうも彼女がいるらしいと?」
「そうなのよ、何で私が好きになる人は、私以外の人を好きになってるか、彼女がいるんだろうね?あぁ、何て不幸なんだろう」涙をぬぐう仕草をして、おどけてみせる。
「それだけ、お前に見る目があるって事だろ?ほかの女子が放っておかないんだからな。まぁ、単純にお前に魅力がないからなのかもしれないけどな」
「うわぁ、なんてヒドイ事言うのよ?私じゃなかったら、間違いなく泣いてるわよ?叶わぬ恋と知って、傷心の乙女に対してひどすぎる」表情には出てないけど、ホントは傷ついてるのかな?でも、これで何回目になるんだろ?
「言いすぎたよ、ゴメン。……心配しなくても遼子は魅力的だよ」
「な、何よ、急に?ありがと、そうよね、私に魅力がないわけないわよね。ところで、昌也はどうなのよ?そういう話を聞いた記憶がないんだけど?」
「そういう話ってなんだよ?」急に振るなよ、心の準備ができないだろ……。
「恋愛に決まってるじゃない?えらそうに言うわりには彼女いないよね?」少し勝ち誇ったように遼子が聞いてくる。
「お前が気付いてないだけで、入学してから何回も告白されてるよ。……全部断ったけどな」
「え??何で断るのよ?」不思議そうに訊ねる。
「好きな娘がいるんだよ。なのに付き合えないだろ?」お前が好きなんだよ。気付けよ!!ジッと遼子を見つめる。
「そうだったんだ……誰?私が知ってる娘?協力するぞ、さぁ話して話して」
「よく知ってる娘だよ。だけど、協力はいらない。自分でなんとかするさ」はぁーーー……この鈍感!!叫びたいのを必死で堪える。
「何でなんだろうねぇ。何で好きな子が他にいるんだろ」寂しそうにつぶやくと、遼子はカバンを手に教室を出て行った。
「!?おい!遼子!?何だよ、それ?」もしかして、鈍感なの……俺か?
カバンを掴むと教室を飛び出した。
Fin
スクールデイズ ピート @peat_wizard
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