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「そういえば。じこしょうかいも、まだ、でしたね」
たおやかな一礼。
顔を握り潰してやろうと踏み込むも、僅かに届かず空を掴む五爪。
──間合いを計り違えた?
否。完全索敵領域の内側だぞ。そんなワケが無い。
しかし、であれば、何故。
「わたしは、りしゅりう。りしゅりう・らべる」
半秒にて千と八十の拳打を放つ。
一発も当たらない。掠りもしない。
この女は、避ける素振りすら見せていないにも拘らず、だ。
「くろき、せいぼ」
「『曲式・火皮』」
赫夜を解き、十形態の中で最も長尺な薄剣へと切り替える。
赤青の併用こそ出来なくなるも、自在な軌跡を描けるコイツが見極めには最適。
「ぶらっくまりあ、の、おう」
四方、八方、十六方、三十二方、六十四方。
十メートルほどの剣身に赤光を絡めた強化状態で、牢獄に等しい太刀筋を編む。
──やはり、当たらない。
「成程」
けれど──理解した。
「俺か」
だったら、少し手を変えねばなるまい。
「リゼ。臨月呪母を貸してくれ」
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