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 人間とは愚かな生き物だ。

 紙切れ一枚に群がり、醜く争う姿を眇めつつ、しみじみ思う。


「人古今に通ぜざるは馬牛にして襟裾す」


 もう少し面白い光景を期待したが、失望させてくれる。

 降って湧いたチケットを巡り、セパタクロー大会を開催するくらいの奇抜さが欲しかった。


 ……まあ、いい。

 お陰で上手いこと


「虫の羽音を隠れ蓑に都合良しと動いたか」


 ったく。ネズミ狩りなんぞ俺の趣味じゃねぇってのに。


 とは言え、折角つむぎちゃんが学園祭を満喫してるんだ。

 甘木くんも、三十分後に始まるライブを楽しみに待ち侘びている。


「そこに水を差そうってんなら、フローレンス・ナイチンゲールが守護霊とまで言われた人情派筆頭の月彦さんとしちゃ見過ごせんワケよ」

「むーむー、むー?」


 棺桶の中で呻くヒルダ。

 言いたいことがあるなら、ハッキリ言ってみろ。


 なんて、そのザマじゃ無理か。

 ふはははは。ウケる。





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