27
只今戻りましたよ、と。
朝早く発ったが、もう夜中だわ。流石に十七階層まで行くと往復に時間食うな。
日帰りメインのビギナーや兼業の
よくよく考えると山岳エリアは立地が悪過ぎる。道理で俺しか居なかったワケだ。
「すいません。帰還報告と入手品の買取を」
丁寧な仕草で受付嬢が差し出した魔石計量用のボウルにリュックを引っ繰り返し、戦利品を流し込む。
ロックマン及び往復の道中で倒したクリーチャー、累計約百体分。
「ええと……」
計量器の数値を空間投影キーボードに打ち込み、買取額を計算する受付嬢。
魔石は大きい物ほどグラムあたりのエネルギー貯蓄量が増すため昔は各サイズ毎に細かく値段設定されてたらしいが、十年くらい前に纏めて溶かし固める技術が確立して以降、完全な量り売りとなった。
俺としちゃ査定が早く終わるので、今のシステムの方が有難い。
「全部で八万七千円ですね。よろしければ此方にサインを」
カウンターテーブルに乗せられるタブレット、表示された電子書類。
思ったより五千円ばかり多いな。レート変わったのか。
……まあ、こんなもんは幾らでも構わん。
本命は、こっちだし。
「悪いんですが、これも頼みます」
魔石と混ざらないようポケットに入れてたブツをテーブルに並べる。
大きさは小指の爪ほどの、七色に輝く石。
それを見た受付嬢の目が、ゆっくりと見開かれた。
「……ロック、オパール……? しかも、五つも……!?」
買取価格三十万円。ドロップ率およそ千分の一。
さりとて俺にかかれば、この通り。
――全く以て、出来過ぎたスキルを手に入れたもんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます