詩集「春と青を繋ぎ合わせた天才」
瑞野 蒼人
「春と青を繋ぎ合わせた天才」
大画面のなかで誰かが誰かを愛して
誰かと誰かがぶつかり合って泣いて
そして誰かが短い生命を廃業していく
この季節の感動は大量消費されていく
彼らは彼らなりの人生があるさ
真似することは出来ない特殊な状況下だ
埃被った藍の制服捨てて
堅く馴染んだ礼服身に付けて
憧れに染まった髪は黒に戻して
誰かの期待にはそれなりに応える
僕らの行く先には 希望しか残らないんだ
進む方角は 日が登る前方のみだ
辞書なんて引かない頭の足りない季節を
難しい言葉で例えるのは野暮だと思う
アオと春は違うようできっと似ている
すぐに消えてしまうほど淡くて儚い
憧れという壁にはもう登らないさ
僕らは僕らのままで行くことにしたんだ
寄せ書きしたアルバム捨てて
恭しく受け取った証書破って
誰かが写した写真捨てて
残った記憶窓から捨てて
僕らの手元には もう未来しか残らないんだ
よぎる後悔は 過ぎた日々の亡霊達だ
過去は過去でしかなく
書き換えられるのは空白のページだけ
涙も悔いも怒りも全て
消しゴムではちっとも消えない
分岐していくルートを眺めて
消えていく青色の心を優しく撫でる
僕らの手元には もう現在しか残らないんだ
進む方角は 日が登る前方のみだ
進む世界は 羅針盤が示す遥か先だ
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