第4話 10月 第1週~

 10月に入って、品川のスタンピードがようやく治まり、封鎖が解除されたとTVで報道されていた。


「一週間もかかるんだな……」


 このニュースを見て、早めにステータス値を上げることにした。


 土曜日に寝屋川のDWAに来て、6~10階に出て来る魔物の倒し方を資料室で調べる。そして、6階からの地図を受付で貰う。


「東山様、こちらが6~10階の地図になります。30階までの地図はありますが、5階毎に申し出て下さい」

「はい、ありがとうございます」

「今から、ダンジョンに入られますか?」

「いえ、今日は帰ります。又、明日来ます」


 そう言って、早めに寮にもどり翌日に備えて早く寝た。



 翌日、いつもより早く目が覚め、そのまま寝屋川ダンジョンへ向かった。DWAの受付と、ダンジョンの入口で登録カードをチェックしてもらい中に入った。


 朝8時にダンジョンに入って、出て来る魔物を倒しながら最短キョリを進む。2時間半かかって6階に着いた。ここから10階までは、ゴブリン、一角ウサギ、コボルト、狼が出て来る。今日は6階で様子を見たけど、狼は出て来なかった。魔物は一時間に4~5体出て来る感じだった。


 帰りの時間を考えると、6階を13:00に出ることにした。あまり時間がないので、黙々と狩りをして、1階に着いたのが15:40頃だった。6階で狩りをしたのは2時間ほどだけど、ステータス値が上がったか気になるので確認をした。


名前 東山 智明

年齢  20歳

HP   82/96

MP  12/12

攻撃力  51

防御力  50

速度   56

知力   61

幸運   67

スキル

・片手剣E ・盾E


「お! やった~!」


 思わず声が出てしまった。周りに誰もいなくて良かった~。攻撃力と速度が1つ上がったぞ! ステータスは、だいたい1時間で1つ上がる計算になるな。



「東山様、今日の換金額は12,800円になります。全て登録カードへの入金で宜しいでしょうか?」

「はい、お願いします」


 やっぱり、ポーションが少ないと金額下がるよな~。でも、ステータス値を上げる為に、6階で狩る時間を長くしないとな……日曜じゃなくて、土曜日に入って6階で狩る時間を長くしようか。5階毎にワープがあればいいんだが、10階までないらしい。



 週明け職場に行くと、掲示板に企業ダイバーの申し込みをするにあたって、社内で希望者を募集する内容の貼り紙があった。


「田中さんの言う通りでしたね。僕、これにも希望届を出して来ます!」


 太田さんは、早速、事務所に申し込みに行った。


「ああ、そうだな。及川も、こっちに申し込んでおけばいいぞ」

「そうですね。俺も申し込んでおくか」


 及川さんと太田さんは、事務所に向かった。工場の募集にも申し込むのか……2人とも本気なんだな。



 今週から、土曜日にダンジョンへ行くことにした。ステータスを上げる為に少しだけ頑張る、日曜にゆっくりすればいいしね。うちの工場が土・日が休みで良かった。繫忙期は、仕事になったりするけどね。その代わり、給料が安い……


 寝屋川のDWAに行くと、受付で第一期ダイバー対象にダンジョンCの開放があると書類を渡された。


「東山様、こちらは希望者のみとなっております。希望者には審査がありますので、内容をご確認ください」

「分かりました。ありがとうございます」


 これは帰ってから見よう。書類をロッカーに入れて、ダンジョンに向かう。


 ダンジョンに入って、6階へ向かう。そして、黙々と6時間ほど狩りをして、ステータス値を確認した。


名前 東山 智明

年齢  20歳

HP   82/97

MP  12/13

攻撃力  52

防御力  51

速度   57

知力   62

幸運   67

スキル

・片手剣E ・盾E


 上がった数値は少ないけど嬉しいな。ダンジョンを出たら、とっぷり日が暮れていた。受付で換金したら2万程あった。良い稼ぎだよな~、今日は駅前でラーメンでも食べて帰ろう。



 翌日の日曜日、ダラダラしながら昨日貰った書類に目を通す。


【第一期ダイバー対象、箕面ダンジョンCの開放

・11月より、希望者を受付けます。

・審査基準 ①7月~10月までの実績。ダンジョン入場回数、魔石の換金個数など。②ステータス値の確認。HP100・攻撃力60・防御力60、何れか2つ以上あること。

※審査基準の①をクリアー後、②を確認する面談日を決めます。】



 ん~、僕のステータス値はどれも足りない。知力と幸運だったら、あるんだけどな。つまり、ダンジョンCのスタンピードが起きたら、攻撃力60は必要ってことか。よし、攻撃力60が取りあえずの目標だな。


 第3土曜日も、朝早くからダンジョンに入り6階で狩りをした。


 月末の金曜日は恒例の飲み会で、すでにダイバー選考に通った気でいる2人に初心者講習の話を聞かれた。


「及川さん、3日間の内の最初の2日が座学で最終日がダンジョンでの実践でしたよ」

「おお~。実践もあるのか! 太田、気合入れるぞ!」

「はい、及川さん頑張りますよ!」

「お前ら、もう書類選考に通ったと思っているのか~? ところで東山、お前ダンジョンで儲かっているのか?」

「いえ、初心者エリアの魔物が落とす魔石とか安いですよ……100%落とさないし、1個200円とかですし……電車代と昼代を稼げたら良い方です。初めは赤字ですよ」


 慣れると良い稼ぎになるとは言えない。僕の場合、ドロップ運が良い方なんだと思う。ポーションを売ると凄く喜ばれるしね。他の人の換金額がどれぐらいか分からないから、絶対とは言えないけど……ステータスの幸運値が関係しているのかな?


 明日のダンジョンは、4階辺りでのんびりとスライム狩りをしようかな。



名前 東山 智明

年齢  20歳

HP   95/98

MP  13/13

攻撃力  54

防御力  52

速度   59

知力   62

幸運   67

スキル

・片手剣D ・盾E


 10月末時点での僕のステータス。片手剣がDに上がったのが嬉しいな。しかし、移動時間が勿体ないから10階のワープを通したいな……第二期のダイバーが来るまでに何とかしたい。





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