幸せを求める者、反逆を起こす者

陰内翼

第1話 

小さい頃、思っていた事があった。

今思えば、それは偽善で紛い物だと感じている。それでも俺は、そうあったらいいと思った。そうあれたらきっと世界は平和で豊かになるだろう...と。

俺は願ったんだ。

ーー幸せを。 

ただ現実は、世界は俺が思っていたより残酷で冷淡だった。

それを始めて知ったのは小学生の時だ。

強いものが弱いものを蹴落としている光景。

頑張っている奴を笑ってバカにする光景。

自分が嫌われたくないからと、内輪から外されたく無いからと平気で嘘を吐く奴。

俺はこの時、絶望した。いいや、悟ったのだ。

人間と言う生き物は、弱いもののを蹴落とし、弱いもののを上を生きる事で優位性を感じ、自己を満たす。

それに、気持ち良さを感じる生き物なんだと。

弱いもののを立場は一切考えずに、ただ己が満足すれば、ただ己が安全な場所にいればそれでいいのだ。

だから、誰も虐められているやつを助けようとしたい。

まるでそれがルールかのように。

普通という名のレールから外れたものは、強者に蹴落とされるしかないのだ。

弱者はただ見ている事しかできない。

それでも、俺は幸せを願っていた。可能性を信じていた。

人間は、もっと他人に優しくなれると知っていたから。

自分よりも他人を優先できると知っていたから。

そうしたら人は、きっと幸せになれると知っていたから。

だから俺は行動を起こした。虐められている人を助けようとした。

弱者が生きていける世界を作ろうとした。

だがダメだった。俺がとった行動は全く意味をなさなかった。

結局、幸せとは誰かの犠牲の元に成り立っているのだと俺は漸く気づいた。

誰かが幸せになると言う事は、誰が傷つくと言う事で、世界中の人間が幸せになると言う事は、絶対に不可能だと言うことを思い知らされた。

だから俺は.....。








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幸せを求める者、反逆を起こす者 陰内翼 @kageuti

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