第2話 未央の演説

 「でもさ、人それぞれなんだし、もうちょっとわかってあげたら、未央はみんなから愛されると思うよ」とはっきりと私は言った。


 「面と向かって自分の意見を言えないとか?そういうところって、女の子に多い気がする。シカトとかも。そりゃあ男共の本音が性格よい娘よりスタイルや顔のよい女の子であるように、うちら女だって、性格よりも容姿が優先するのはわかるわよ。あんな男の子だって好きな子は好きなんだし、火傷しなくちゃ理解できない、火傷それでもわからない子もいるんだし、好きなら好きでいいように、私だって言いたいように言いたいし、思ったことは我慢できないたちなんだから、殺されても文句はいわないわよ。むしろ我慢するほうが嫌っ」と息もつかずに言いきってから、面白くないと私の顔を見てまた話しだす。


「由依は並外れて美人だし、勉強もできるし、○○病院経営の父方とうちの学校を母方の方で経営しているから、先生方だってちゃほやしてくれる。しかも、父上は上昇中の新規会社の社長さんだし、病弱なことのぞけば神様から沢山のものを貰っているんだから周囲が嫉妬とかするのもわかるけど、由依は優しいから周囲に申し訳ないとか思っているんでしょう?けど、私は優しくないし、自らまいている種だからどんな覚悟もできているわ」とコーヒーのペットボトルを振りながら話す。


 私だって、人に言えない秘密がある。だいだい、優しいというか卑怯なだけだと思う。いくら親友でも未央は自分の考えをおしつけて来るし、私だって素直に弱さを見せる勇気はまだない。


 平行線なままもう一人この場所にいる親友に話題はうつるのだ。

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