第12話 初めてのバトル
体を慣らしながらにゆっくりとさらなる深海に進んでいく。
2日目には、水深500mまで進んできた。さらに水圧、重力ともに上がってきている。
細胞の分裂・再生による超回復は、すでに全身に意識を集中しなくても、できるようになっていた。まさに、体の細胞1つ1つと会話が自然とできる状態になっている。
陸上の動きとそん色なく、動けるようになってきています。もちろん、常人と比べての話ですが。
ただし、身体は加重のため、体重が数十倍になっているため、地面にもぐりこまないよう歩くだけでも、そうとうの体力を、常時使っている状態です。
これこそ、理想の鍛錬です。寝るときは外していた大リーグ養成ギ○スの比ではありません。
さて、深海700mを超えると、海の猛獣どもの襲撃を受け始めました。深海はまっ暗なのですが、超回復で知覚も鋭敏になり、まわりの地形や生物などが、レーダのように探知できるようになっていました。
この辺りは、深海ザメやシャチ、マッコウクジラの生息域になっているようです。
サメの集団に囲まれたり、シャチに捕食されそうになりましたが、むかし、テレビで、「サメに襲われたら、鼻先を蹴って逃げろ。」と言っていたので、拳でやってみたら、何とか逃げることができました。
当然、このような場面に出会うことも想定していて、ジェンヌと一緒に身体強化系のスキルや魔法の類は使わない縛りで戦っていたので大変だった。こちらはさらに重力の枷まであるからね。
マッコウクジラに食われそうになったときは、体をわずかに捻って口の中にはいることは阻止できたが、鼻先パンチでは相手が大きすぎて、まったく効かない。
激突され、跳ね上げられたとき、加重に対する抵抗をやめて自由落下しながら、かかと落としを脳天にお見舞いすると、衝撃に驚いて退散してくれました。
水中といえど、70Gを超える加重から放たれるかかと落としの威力はハンパなかったようです。
五日目、やっと今回の目的である深海1000mに達しました。水圧100気圧、重力加重も100Gになっています。
ここで、まさかの妖怪に遭遇してしまいました。
どちらも10m以上の大ダコと大ガニの化け物です。こいつらは神の目を逃れ、自然発生した妖怪で、その場合は、結界の有無にかかわらず具現化できるらしい。
大ダコがジェンヌに狙いを定めました。俺は大ガニに向かっていきました。
攻撃をかわし、甲良にコブシを叩きこむが、かなり固くて、手ごたえがない。
ジェンヌも同じで、大ダコにコブシを叩きこむが、やわらかくて衝撃を吸収されてしまっているようです。
一瞬の隙を突かれ、大タコの足に襲われています。このくらい大きくなるとタコの足は8本とは限りません。数10本の足が胴体の根元から生え、さらにその足が枝分かれしています。
それらすべてがジェンヌに襲いかかっています。
かわし切れず、手足が絡め取られ、背中には、太い足の吸盤が張り付き、さながら、十字架に張り付けられたようになっています。
俺がそちらに気を取られた隙に、大ガニの鋏で殴り飛ばされました。無駄に荷重がかかっているため、数百m先まで吹っ飛ばされました。
あわてて気配を察知すると、大ガニは、貼り付けにされたジェンヌに鋏を使って襲いかかっています。
ジェンヌの水着は、梵字変換により、強度と防御力を引き上げていますが、妖怪の攻撃には通用していないようでした。
滅多打ちにされ、水着もボロボロになっているようです。
肌には幾筋も傷が刻まれ、おっぱいも露わになっている。いや、俺には実際には見えてないからね。
俺は怒りを露わにして、大ダコと大ガニに向かって全速力で走りだした。
大ダコの野郎、ジェンヌの足まで広げ出しやがった。こっ、このままでは、大事なところまで露わになってしまいます。
俺は、アプリ梵字変換を起動した。
「 蒸着 」
一瞬で、ジェンヌは戦闘服騎士モードになった。腕や足、背中と吸盤の間に、騎士服や鎧が突然現れたことで、手足の拘束が緩んだ。
ジェンヌはその一瞬で、背中の剣を抜き、大ガニの鋏を切りとばし、逆手に持ち替え、背中側の大ダコの足も切り伏せていた。
なんて、素早い動きなんだ。相当怒っていたらしい。スーパー○イヤ人まであと一歩だ。
ジェンヌと俺は、目くばせをして、一気に数十m浮上した。
そして、一気に自由落下に切り替える。加速度100Gだ。
ジェンヌは大だこに向かって剣を大上段に構え、兜割の要領で、大タコの胴体に切り付けた。
斬撃が走り、大ダコは真っ二つになっています。
俺もコブシを大ガニの甲羅に叩きつけた。甲羅に大穴があき俺は大ガニを貫通していた。
しばらくすると、大ダコも大ガニも霧散して消えてしまった。こいつら、精神体?が具現化したものだからか。精神が屈服すると、肉体を形づくる霊力が天地にもどっていってしまったのだろう。
思ったより実力が上がったようです。修行の効果は上々です。
それでは、教団に帰還しますか?
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