第11話 迎え入れの準備
殿下が一緒に行動するとなると考えなければならない事は多い。例えば今まで学校での練習用で誤魔化してきた装備。これも殿下と同行するのに見合う物にしておく必要がある。
だが装備は高価で侯爵令嬢の小遣いでもおいそれと揃えられるものではない。それは勿論私以外の2名も同様の筈だ。
だからリュネットとナージャに鎧と武器のあてがあるか聞いてみた。するとナージャは既に鎧もこの前の剣と同等の装備があるそうだ。何でも異郷であるここイ・ワミに来るにあたり戦闘用の装備も一通り持ってきたとのこと。流石種族的に武闘派である獣人だ。
だがリュネットは当然というか当たり前というかそんな用意は無いとの事。実家に頼むにしても領地が馬車で片道3日と遠い。しかも実家にも自分用の武装など無いそうだ。まあこの国の貴族として当然ではある。ここは仕方ない。回復役だし極力後ろにいてもらう事で対処しよう。
私の方はオルネット経由で父にお願いした。あまり父には頼りたくはなかったが仕方ない。幸い殿下とお近づきになれたのが父の意に沿えたのだろう。4の曜日にはサイズ調整可能な市販品ながらかなり高級な軽銀製のスケイルアーマーと、やはり軽銀仕込みの高級マジックローブ、更に片手剣と盾、魔法杖まで送って貰えた。流石侯爵家、金がある。特に防具を2セット送ってくれたのもありがたい。これで片方をリュネットに回せる。
身丈や性能を考えた結果、当座はマジックローブの方をリュネットに貸すことにする。これなら見栄えも悪くない。私はタンク役でもあるしスケイルアーマーの方がいいだろう。
装備を手に入れただけではない。受け入れ態勢も重要だ。だから殿下を入れた際の戦法についても3人で何度も話し合った。結果、比較的安全で攻撃も可能で戦果を感じさせる事が出来るという事で、盾と攻撃役の中間的な役目をして貰うことになった。防御力が余り高くないリュネットの直衛をしながら、攻撃魔法で敵を攻撃するのが主な仕事になる。
基本的には私が敵を引きつけるからリュネットの直衛はあまり必要ない。つまり殿下に敵との最前線に行かないようにして貰う上での方便である。
「殿下が
確かに本当は殿下の方が
「殿下に敵の真っ正面に立って貰うわけにはいかないよね」
「そういう事ですわ。その辺はやはり殿下という立場上仕方ないです」
「そんにゃものかにゃ。イズモーでは首長は常に先頭に立つものなのだにゃ。強さこそが首長に求められる資質だからにゃ」
流石獣人、戦闘種族だけある。だが普人はそうではない。
「この国ではそんなものですわ」
そう言ってさらっと流させて貰う。
更に殿下がいらした際の手順等も話し合った。
「最初はやはり第1階層と第2階層でスライムとケイブフロッグ相手にマラソンをして貰いましょう。そうすれば討伐件数も上がりますし安全にレベルを上げやすいでしょう。回復役のリュネットが少し大変ですがお願いしますわ」
「任せておいて。でも殿下に回復魔法をかけるの、ちょっと緊張するな」
「私の出番は無いかにゃ」
「殿下がレベルを1つ以上上げて、第3階層以降へ進んだらナージャの出番ですね。ゴブリンが出てきますので、その際は私と前面に出て下さい。殿下は後ろから魔法攻撃メインという形で」
「ゴブリン2匹程度なら後ろからの魔法攻撃はいらないにゃ」
「その辺は適宜判断で。殿下はリュネットの直衛という役目もありますから」
「殿下に守ってもらうなんてちょっと申し訳ないよね」
「殿下の腕を見て問題無いようなら、第5階層のボスを狙ってもいいと思います。基本的にここの3人でも倒せますから。戦法はこの前と同じで、殿下はリュネットの直衛兼魔法攻撃で」
そんな感じで
殿下が一緒に
「どうだ、これで明日は同行しても大丈夫だろう」
この世界は1週間は6日で、6の曜日は休息日。
それにしても思ったより早くこうなってしまった。仕方ないがとりあえず最後の確認をさせて貰おう。
「装備の方は大丈夫でしょうか」
「ああ。父上に頼んでそれらしいのを入手した」
仕方ない。
「わかりました。それでは明日8時半、校門の手前でお待ちしています。あと装備は自在袋に入れてお持ち下さい。学校から着装しては目立つので」
「わかった。明日はよろしく」
しかしこれでこのパーティ、これで私のハーレム状態が崩れてしまう。それが微妙に、いや本当に悔しい。本当はあと1人、ちっぱいのロリ系少女を入れれば完璧だと思っていたのだけれど。今のままでは一番貧乳なのは私だ。いや、貧乳が悪いという話ではない。すべてのおっぱいは平等に尊い。だがなあ……
おっと本音が入ってしまった。ただ攻略の上では殿下のパーティ参入は悪い事ではない。そう自分に言い聞かせる。
「宜しく頼むな」
「任せるにゃ」
「ご一緒できて嬉しいです」
リュネットにナージャも楽しそうだしいいだろう。ただ他のご令嬢方やお付き2名からはちょい睨まれている気もする。その辺は私の侯爵令嬢バリアでカバーしよう。何かやられそうな授業時間や食事の時間は極力私が一緒にいるようにすればいい。侯爵令嬢を敵に回すような度胸のある奴は少なくともこのクラスにはいない。
「それで僕はどんな役割をすればいいのだろうか」
「第2
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