第27話 レインボーアホー鳥
そうだったな。
きっと みんなも心配しているだろう。戻らなくちゃな。
「おーい みんな~!!」
「おーい ヨーゼン ジェフラぁ~」
「オーレンスだ! 無事だったんだな」
「おーい!」
「やったぜ!!」
「オーレンスとセレネだ」
「やはり オーレンスなら無事だと思いました」
俺たちは手を振って駆け寄り みんなも俺たちに駆け寄ってきた。
「セレネェェェェ!!」
「ジェフラぁ~ 」
二人は抱き合った。
ガッシリとガッシリとした力強い抱擁(ホウヨウ)を交わした。
ああ なんか 二人を見ていると恥ずかしくなってきたぞ。
「恋人同士みたいでチュね」
いやいや セレネの恋人は俺だから・・俺のはず。。え?。。だよね?
「セレネ!!ふふふ」
「ジェフラ・・・はははぁ ねえ、ジェフラ?」
「なあに?」
「私たち親友になれるよね?」
「はぁ? 何を言ってるのセレネ。ふふふ。毒草でも食べたのかしら?」
「ふざけないで 答えてよ・・」
・・。
・。
「うん 親友だよ。ずっと ずっと
街から引っ越してこなくちゃいけなくなった私と、、
魔女になれなかったあなたは同じなの、、
意地悪な事ばかりいったけど、本当は大好きよ。セレネ・・」
このあとは山頂へ登り卵を手に入れようと思ったけど
レインボーアホー鳥は一羽もいない。ただの広い丘だった。
短い草を風が吹き抜ける中、羊飼いのヨーゼンはつぶやいた。
「どうしたんだ、これは?」
草むらが広がっているだけで アホー鳥の巣も何もない。
確かに昨日も今日もアホー鳥がこの丘に飛んでいくところを見たはずなのにどうして?
俺は丘のてっぺんまで一応登っておこうと歩いていくと
「オーレンス!! オーレンスの後ろにレインボーアホー鳥の巣が現れたわ!!」
と叫ぶ声がした。
後ろを振り返ると突然、巣が出現しているけど何もいない。
巣にはすでに孵化して割れた卵と跳ねがあっただけで空だった。
ジェフラは割れた卵を手に取ると 鳥に興味がわいたようだ。
「これが アホー鳥の卵の殻なのね。大きいわぁ~鳥ってどうして空が飛べるのかしら?」
そしてセレネは鳥の巣に落ちていた奇麗な羽を見つけた。
「これが レインボーアホー鳥の羽なのね。羽も大きいし奇麗だわ」
そういうと 二枚の羽根を自分の髪に刺して髪飾りにした。
「隙ありぃ!!」
「キャ!!」
ジェフラが卵の殻をセレネの胸に押し当てた。
アホー鳥の大きな殻はセレネのそれとピッタリ一致した。
「やったわ! ようやくちょうどいい物が見つかったわね」
「何するのよ ジェフラぁぁぁぁ!みんなもいるのよ」
「そうだったわね。男ども! さっさと 卵を探しに行きなさい!!!
セレネ、今度街まで一緒に行きましょぉ!
あなたが下着をつけない悩みだけど、私だったら何とかしてあげられると思うわよ」
「ジェフラ・・ありがとう・・。」
「な~に 涙浮かべてるのよ。そうだ!洋服を買ってあげるわ。私に選ばせて!」
「それはダメよ。 私には贅沢過ぎるし高価すぎるわ。そんなに私に優しくしないで!」
「じゃぁ 私が着ていた洋服を仕立て直してもらいましょう。それなら村で出来るわよ」
「・・・。」
「もう お漏らしが治ったと思ったら 今度は泣き虫セレネになっちゃったわね。ふふふ」
「オーレンス・・・私を見てくれるかな。。」
卵のほうは人数が増えたからとどうにかできるものでもなさそうだ。
でも 暫く歩いているとまた「オーレンスの後ろに巣があるぞ!!」と誰かが叫んだ。
今度は素早く後ろを振り返ると 目玉が二つ見えた!っと思ったら消えた。
この目玉 どこかで見たことがあるぞ・・そうか!
俺は小走りに走った。
すると みんなが次々と「巣が現れたぞ」と叫んでいく
そして後ろを振り返ると アホそうな顔の目玉がいくつもこちらを見ていた。
「やっぱりそうだ!」と叫ぶとレインボーアホー鳥たちは一斉に姿を現した。
レインボーアホー鳥は空を飛んでいるときは七色に輝いているけど
草むらにいるときには 保護色で見えにくくなっているんだと
そうみんなにも説明すると 安堵したように納得してくれた。
「だけど これだけ動物に好かれてるんだ。オーレンスは獣使いで確定だな」
とヨーゼンに肩を叩かれた。
もしかして羊飼いにスカウトされたのか?
なんてことだ どうやら俺の魔法剣士の夢はついえてしまったようだ。
でも みんなともニーマンたちとも出会えたことだし、今となってはそれは
些細な事なのかもしれない。
「よかったでチュね。オーレンスが魔法剣を覚えても照明を叩き落すだけでチュ、
戦士マクアだってサンドイッチの耳を斬ってたでチュからね」
あはは そうだったね。
レインボーアホー鳥が見つけられるようになってからは
みんなも手伝って生態系が壊れない程度の量の卵を集めた。
「結構集まったな。さあ 村へ帰ろう!」
ウサギに乗って村へ帰るとウサギのモフモフの柔らかさに負けてしまい
何度も眠ってしまいそうになった。
意識が・・ 落ちそうだ・・
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