第6話 魔女の娘、村娘セレネとの再会2
ヨーゼンが倒れて大検が側の地面にめり込んでいた。
アザだらけじゃないか!
小人から仲間を逃がすためとはいってもこれだけの数のアザが出来るまで
ヨーゼンという人は仲間のために頑張ったのか?
「めった打ちゲロゲロ・・」
息はしていないのか??と手を口元に持っていくけど呼吸がない。。可哀そうに。
まさか 重機械みたいな男が、こんなことになっているなんて思わなかったけど
こうなってしまったらセレネに知らせてやらなきゃな。
立ち上がって去ろうとすると戦士の大剣が光り出して光に包まれた。
まるで時間が止まったような感覚だ。
さっきまでの景色は草原に変わり俺はヒツジや沢山の動物たちに包囲されていた。
「メェー メェー。モー モー。 ブヒブヒ」
ん? なんだ?羊や牛や豚? 今のは何だったんだ?
なんとなく俺の名前を呼ばれた気がした。
はぁ!! と気が付けば元の風景に戻っていた。
「うっぅぅ。。ヒツジさん・・」と戦士風の男の声がした・・・息が戻ったのか?
呼吸をしているのも見ててわかる。
何が起きたのかはわからないけどファンタジーなことが起きたぞ。
いいや、この人くらい筋骨隆々な体じゃなかったらファンタジーは
起こせなかっただろうけどな。
安心して胸をなでおろすと
「ヒューヒュー」と風の音が聞こえてきた。
「ゲロゲロだゲロ!」
普通だったら風だと思うだろう。
風が吹き抜ける洞窟でもあるのかもしれないと思うけど
でも この声には聞き覚えがある。小人の声だ!
なんていいタイミングで出てくるんだヨーゼンもいるし 逃げられないぞ。
「はめられたでチュ」
なんだって?はめられただって?
木製のおっさんだろ?でも 知性があるなら・・。
意識を周囲に張り巡らした瞬間 背中に違和感を感じて振り返った。
「ドッカン!!」
やっぱり 一匹の小人がジャンプしていた。
振り下ろしてきたこん棒は買わせたけれど
前方にジャンプして交わしたら 考える暇もなく今度は
そのタイミングを見計らったかのようにシダの葉の下から
こん棒と思われる木の塊が俺の顔面に飛んできた。
逃げられない!
「でチュー」
地面が沼地のようになり俺は体は半分だけ
サブロウの影に沈んで小人は俺の頭上を飛び越えていった。
色んな事が一気に腑に落ちた。
ヨーゼンが見つからなかったのは こいつらがワナに使うために運んだからだ!
それにしてもサブロウは頭がいい~、そして能力が便利りぃ~。
小人が二匹か?!
フロンは石だから盾みたいな使い方をしたら砕かれる。
ここは俺がおとりになってサブロウに「ぽちゃん、ぽちゃん」
と潜れば人間もぐらたたきの完成だ。
後はフロンに隙を攻撃してもらおうと作戦を立てたら
そう思ったら
「危ないゲロ オーレンス!! 」
「ゲェーーロォーーー!」
フロンは粉々に砕けてしまった。
砕けたフロンの側に落ちていた物はこん棒だ。
そして
「ヒューヒュー!」お店やってるかい?って感じで、
ヤクザ顔に見える顔の面に傷のある小人が葉っぱの下から出てきたぞ。
泣き虫のフロンが俺をかばってくれた。なんてことだ。三匹もいたのかよ・・。
うわぁぁあぁあぁ!!
戦意を喪失しかけたそんなとき。
心に誰かが語り掛けてくる。
「オレヲ ツカエ オレ ナカマになる。小人奪える・・」
なんだ? 奪える?どういう意味だ?
「オーレンス 仲間が増えたでチュー!
さっき フロンが倒した小人を仲間にしたでチュー
名前は コルビン!!」
そうか フロンが残してくれた仲間か?
小人ってことは強いんだろ?
俺と一緒にあいつらと戦ってくれ!
俺はこん棒を拾い上げて構えると「コルビン 召喚!!」と唱えた。
すると俺の影から水たまりのような影が現れて 影は小人の中に入って行った。
何が起きたのか?小人は現れないし見た目ではわからない。
でも術者の俺にはすぐに分かった。
この能力は地味に見えるけど すごい能力だ。
奪えるってことは、そう! 小人を操れるってことだ。
心の中でコルビンに語り掛けた。
コルビン 素手の小人を・・
コルビンはゆっくりとうなずくと
「ボカン!ボカン!」とフロンを倒した小人を砕いてしまった。
ざまー見ろだ。
ざまー・・ え? 無反応??
隣の小人が砕かれたのにもかからわず、もう一体の小人はまるで無反応だ。
俺に警戒しているわけでもないしコルビンは 小人に認識されてない小人なんだ。
これは好都合。
勝った!勝利を確信した。
さらにサブロウから声が聞こえてきた。
「それから、オーレンス。石像が砕けたくらいじゃ、ニーマンは消えないでチュよ」
「ゲロゲロ!さっきの道に戻ってまた石像を手に入れてきてくれゲロ」
なんだって!ニーマン、強すぎるだろ。
無事でいてくれてありがとう。涙が出そうだわ。
でも 死なないからって盾とか捨て駒に使うような真似はしたくないと思った。
この小人を片付けてセレネにヨーゼンの事を知らせに行こうと思ったら
遠くから女性の声が聞こえた。
「オーレンス!!」
あれは!よく見れば、大きな水の玉にまたがった女性がこちらに向かって突進してくる。
セレネだ!!
コルビン逃げるんだ!
コルビンは飛びのくようにジャンプしてそのまま地面に体を伏せた。
セレネの乗った水のボールは結構なスピードで突進してきて
水の玉が潰れたボールのようにうねると、今度は高くジャンプして落下をいかした攻撃を小人に加えた。
「ウォーターヒップ! ボヨボヨ~ン!!」
名前は可愛いが弾けた水が水しぶきを上げる。
スカートの前は抑えていたが、後ろは丸見えだ。
胸は水にあおられてボヨボヨ~ン!としていた。
あの高さからの落下なら水の重量だけでもかなりの威力になっていただろう。
小人の一体はバラバラになっていた。
何て威力だ!大変だ!
コルビン 早く小人から出るんだ!
だけどセレネは 着地して片手はスカートを抑えたまま、右手の指先を指揮者のように
コネコネと振り出して小人の自由を奪う魔法を放った。
「水呪!リングウェイト!!」
やめろーー!コルビンが!
俺は ジャンプして発射された水のリングをいくつか受け止めただけど
残りの水リングが小人へ飛んでいき、両足・首にハマると
ギューギューバッタンと絞められてコルビンは起き上がれなくなった。
俺は片足だったけど両足にかければ拘束にも使えるのかよ。
この間にコルビンが逃げられたのかはわからない。
「オーレンス あなたどれだけマニアなのよ!!」
セレネは何かを言っているようだけど
けど 安心してくれコルビン。
俺はお前の飼い主として。
・・。
片手に握ったこん棒に力を込めて決意をした。
・・。
セレネは・・セレネは俺が倒す!!
愚かな人間よ。俺はコルビンを守るんだぁ!!
セレネは 叫んだ。「今よぉ!!オーレンス!」
やっちゃいなさい!とばかりに 合図を送ってきたけど俺がとどめを刺すのか?
ああ いいぜ。お前に片手を封じられたが 俺はまだ戦える。
とどめは刺さないけど気絶するがいい。
「どうしたのよ!まさか・・やっぱり戦えないの?
私はてっきりあなたならって期待したのに・・いいえ、
小人は拘束したくらいじゃダメ。拘束してても殺そうとしてくるわよ。
早く村の人を呼びに走るのよ 逃げて!」
「逃げるのは・・お前だよ セレネちゃ~ん!
安心しろ。村の人は呼んできてやるから
そこの大男と二人並んで仲良く帰るんだな!がははは」
「オーレンス 悪役みたいでチュ・・」
「ゲロゲロ シクシク」
ん? 何だ?声がする。
「オレ ツヨイ マケナイ」
コルビンが起き上がった。
コルビンが起き上がると拘束に使っていた水リングが壊れて、
代わりにセレネがグッタリと膝をついた。
まるで入れ替わるように膝をついたな。
「魔法を破られた反動で動けなくなったわ!!」とセレネは叫んだ。
どうやら無理やり破られるとしっぺ返しを貰う魔法だったようだな。
さすが魔女の魔法だ。
ざまーみろ 策士策に溺れるならぬ。術師、術に溺れるだ。
勉強になったな。
さ~て 俺の拘束も外れたようだしその管理不能になった
そのスイカのような体を・・ひと夏のスイカにしてやろうか?
どうしてやろうか?
ゆっくり後ろに回り込んでこん棒を振りかぶった・・
でも ああ そうだ 肝心なことを忘れてたわ。
俺が殴ったらあとでバレるじゃん。
村に帰ってセレネが意識を取り戻したら、
俺に殴られたとバラされて村の人たちに捕まってしまうだろう。
しかたがない・・なら もうイタズラしたいなんて思われないくらい。
セレネに感謝されることにするか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます