第86話:反省・オードリー視点
守護石戦闘使い魔が莫大な魔力を回収しています。
魔族の神々と魔族と守護石が死力を尽くして戦ったのです。
続々と侵攻してきた神々を殲滅したのです。
まがりなりにも神と呼ばれるような存在が死ぬまで戦ったのです。
周囲にまき散らされた魔力の量はとてつもなく莫大なのです。
「やはり守護石達が尖兵を務めることになるのですよね」
守護石には命も感情もないと言われても、アラステアを知っているだけに私の心は納得してくれません。
私を苦しめた魔族のために、第二第三のアラステアになるかもしれない守護石達を死なせるのが嫌なのです。
「ああ、その約束を前提にこの空域にある魔力を全て守護石が回収することになっているからな」
父上も好きで守護石達に尖兵をやらせているわけではありません。
言葉の端々からその気持ちが伝わってきます。
「オードリー、今からはどうしようもないのですよ。
私達が見ているのは過去の現象なのです。
時間の流れが違う人界と魔界で同時に同じものを見ることはできません。
時の流れが速い人界から魔界を見るとまるで止まっているようにしか見えませんし、逆に時の流れが遅い魔界から人界を見ようとしても動きが速すぎて何が起きているのか分かりません。
だから今見ているモノは全ての決着がついた後のモノです」
アラステアにそう言われてしまって家族四人で顔を見合わせてしまいました。
四人全員がうっかりしていたのです。
何度も時の流れの違いに痛い目にあっているというのに、こんな簡単な事も忘れてしまっていました。
「そうか、そうだったな。
まったく、何度同じ失敗を繰り返せば身に着くのかね。
それで、結局この戦いの結末はどうなったのだ」
最初に説明しなかったアラステアに怒っているのか、迂闊な自分の事を怒っているのか、父上の声がほんの少しだけ荒くなっています。
「ルーパス、腹立たしい気持ちはわかりますが、落ち着いてください。
私達がやらなければいけないのは人族を護る事です。
仮想敵は我々が知っている神々や魔族だけではありません。
まだ見た事のない神々や知的生命体が襲ってくる可能性もあります。
少なくとも今敵対している神々や魔族くらいはしっかりと知りましょう。
結果だけを聞くのではなんの成長もありませんよ」
「そうだな、すまん、アラステア。
私もまだ自分を律することができていないな。
分かった、ちゃんと最後まで見て魔界の神々と魔族をことをよく知ることにする」
父上がアラステアに謝られました。
私も同じ気持ちです。
「私は何も気にしていませんよ、ルーパス。
それよりもしっかり見てください。
守護石達が魔力の回収を終えて、いよいよ転移門を開こうとしていますよ」
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