第83話:激戦・オードリー視線
魔族の大軍団が神々を滅ぼそうとしています。
ですが大魔王はとても慎重で強かです。
自分達魔族が先陣を切ったりはしません。
魔族の前にはグレアムそっくりの守護石軍団二万がいます。
神々の攻撃を受ける盾役に使う心算です。
「最初から分かっていた事ですが、実際にこの眼で見ると腹が立ちますね」
最初はほんの少しだけ大魔王に同情していたのですが、こうも露骨な事をされると同情も消し飛んでしまいます。
「これは最初から約束していた事だからな。
グレアムの姿形をしているから、オードリーには腹立たしいだろうが、アラステア以外の守護石には命も感情もないから、魔族を死なせるよりはましだ」
父上が感情を見せずに言い切られました。
今は魔族と同盟を結んで協力しているので、味方の損害を減らすのは当然です。
確かにその通りなのですが、私の苦しみが始まったのは魔族のせいです。
そう思えばとても複雑な気持ちになってしまいます。
それは父上も母上も同じでしょう。
「オードリー、今回の戦いは、私達が神々の攻撃を受けた時の参考にするためだと割り切りましょう」
そうですね、割り切らないといけませんよね。
何時この前みたいに魔界の神々が奇襲を仕掛けてくるか分かりません。
人族の神々が、私達の戦力が遠征しているスキをついて、危険な芽を摘んでおこうと攻撃してくるかもしれません。
まあ、私達は油断はしていませんけれど。
「魔族が神々の世界に転移門をつなげられるかどうかにかかっているな」
最初は転移門を繋げるかどうかの攻防になります。
大魔王や魔王達が、私達が支援した魔力を使って強引に転移門を繋げようとしますが、神々がそれを邪魔するのです。
見た目にはとても静かな攻防なんですが、実際には莫大な魔力を消費しています。
まあ、密かに守護石軍団は魔力回収魔法陣を使って魔力を霧散させずに集めているのですが、それは魔族も神々も行っている事でしょう。
「アラステア、このまま転移門の攻防に終始すると思うか。
一旦転移門を繋がせておいて、そこを通して攻撃魔術を放って来る事はないか」
父上が神々が使うであろう作戦を心配されています。
神々がそう言う戦術を使ってきたら真っ先に攻撃を受けるのは守護石達です。
「その可能性はあると思います。
ですがそこにはこちらの盾役が待ち受けている事は神々も気がついています。
防がれた上に放った魔力は我々や魔族に回収されてしまいます。
もっと効率的な攻撃を仕掛けてくるでしょう」
「ルーパス、神々の方が転移門を繋げようとしています」
母上が父上に声をかけられました。
予測していた戦術とはいえ、これをやられるのは困ります。
神々が転移門を繋げたら、そこから攻撃魔術を放たれてしまいます。
まあ、予想していましたから準備は整えてあります。
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