第15話


宿への帰り道ーー


「ん?なんだあれ?」

何やら向こうの方で人集りができている。

「ちょっと通してください」

人をかき分け前の方にでる。

「なんだ…?」

そこには騎士や魔法使いの格好をした五人の男女がいた。

見た感じは冒険者のようだが…

「なんでこんなに人が集まっているんだ?」

その光景を見てもなぜ人集りができているのか分からなく思わず声に出てしまう。

「なんだい、兄ちゃん」

すると隣に立っていたおじさんが話しかけられる。

「あの“勇者様“を見に来たわけじゃないのかい?」

「ゆうしゃ?」

「そうさ…あそこに白い鎧を着た女の人がいるだろ?あれが勇者様。周りにいる人たちは勇者様の仲間ってわけさ」

確かにここはファンタジーの世界だ。

異世界からの勇者でなくこの世界の勇者がいても不思議じゃない。

後、おじさんは話ではその勇者様たちを一目見たいと思った人たちでこんなにも集まっているらしい。

まぁそうだな…遊園地で新しい動物が産まれたりしたのを見に来たような感覚に近いのかもな。

けど勇者って“男“みたいなイメージがあったけどこの世界の勇者は女の人なんだな。

他の仲間の人も女の人ばかりで男はいない。

「ねぇ〜ともくん帰ろうよ〜お腹すいた〜」

勇者に全く興味を示さない沙月が俺の服を引っ張ってくる。

「わかった、わかった」

そしてそのまま沙月に引っ張られながら宿へと戻った。

まぁもしかしたらこの先、魔王を戦うって事で共闘したりはあるかもな。


宿に帰ると先にリズが帰ってきていた。

「お前どこで何してたんだ?」

「ん?まぁちょっと買い物をね」

リズが少し濁しながら答える。

「まぁ…別に無理には話せとは言われないが…」


その日の夜ーー


「お姉様、頼まれていたものです」

「リズありがとこれでーーー」

トイレに行く途中…リズが沙月に薬の方な物を渡す所を俺はみてしまった。

なんだよあれ…後、沙月のやつ最後の方なんて言ったんだ?よく聞こえなかったが…


次の日、朝食にあの変な薬が入っているのが怖くて食べる前に沙月に食べてもらう。

死ぬような薬じゃないと思うが…

大体どうゆう効果がありそうかは予想できるしな…

沙月は「なんで?」と不思議そうに聞いてきたが、美味しいものだから好きな人と共有したいと言うと笑顔で食べてくれた。

これから何か食べる時は警戒しないとな…

朝食を食べ終えた俺たちは一度…この街の冒険者ギルドへと向かった。

ギルドの依頼は流石は水の都というだけあって魚などのモンスターの討伐、温泉の発掘など前にいたギルドにはなかったような依頼も沢山あった。

「これとかいいかもな」

その中にあった赤い魚(ドラゴンフィッシュ)の討伐を受けることにする。

ドラゴンってつくだけでなんかかっこいいよな…そう思いこの依頼を選んだ。

後、報酬が結構いいしな。

こっちには沙月もいるし大丈夫だろう。

受付を済ませ、俺たちはその魚がいる湖へと向かった。




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