拝啓、勇者パーティーです

マキシム

拝啓、勇者パーティーです

「ほっほっほっ、よくぞ魔王を倒した!」


「「「「「「ははっ!ありがたき幸せ」」」」」」


俺の名はアルト、職業は勇者だ。俺は女魔法使いのマリー、女騎士のサリー、女僧侶のシディーと武闘家のサカキ、魔導師ロッソともに魔王を倒した。色々と大変な目にあったけど、仲間たちの協力もあって、不倶戴天の敵である魔王を倒した


「うむ、お前たちに褒美をやろう、持って参れ!」


国王の合図で家臣たちが袋一杯の巾着袋を持ってきて、俺たちの下へ運んだ


「受け取れ。」


「「「「「「ははっ!ありがたき幸せ!」」」」」」


「よし下がって良い!」


巾着袋を受け取った後、国王から退出の命を出され、俺たちは朝議場から退出し、城から出た途端、人目をさけ、路地裏に隠れた


「褒美が金貨と銀貨か、あれだけの激戦の割には割りに合わない仕事をしたわ。」


「マリー、滅多な事を言うな、褒美はありがたく受け取っておけ。」


「じゃがのう、どうせなら領地や貴族にしてくれても良かったと思うがのう。」


「まぁ、これだけ金があれば、当分は生活には困りませんよ。」


「仕方がない。」


マリー、サリー、サカキ、シディー、ロッソは褒美の感想を述べた後、今後、どうするか聞いてみた


「なぁ、みんなはこれからどうするんだ?」


「そうね、私は魔法の里に戻ろうかしらね。」


「私は騎士学校だ。」


「私は故郷の教会に戻ります。」


「俺も故郷に戻るかな。」


「私も故郷へ帰る。」


「そっか、俺は転職しようかな、いつまでも勇者じゃ、いられないし。」


勇者パーティーを解散させ、俺以外は目的地へと帰ったのである。俺はというと、両親を早くに亡くし、孤児院で育った

神託によって俺は勇者になったが、魔王を倒したら、御役御免だ


「冒険者にでもなろうかね。」


俺はまっすぐ、ギルドへ向かったが・・・・


「えっ!冒険者の求人がない!」


「は、はい。冒険者の空きがありません。誠に申し訳ありません。」


「は、はぁ。」


「代わりに開拓地人員の募集が来ていますが、どうですか?」


ギルドの人から渡されたのは開拓地移住の求人だった。つまり自力で土地を耕し、食い扶持は自分で稼ぐのだ


「それでお願いします。」


「分かりました。」


その後、アルトは開拓地行きの馬車に乗った。アルトの心中は期待半分、不安半分でいっぱいだった。そんな気分でいると、馬車が止まった


「着いたぜ、降りな。」


馬車の御者が声をかけた。アルトは馬車戸から降りると、そこは河がある以外、辺り一面が平野だった。そこへ、開拓先住者らしき人がきた


「アルトさんですか?初めまして、ゴルドンです。」


「あ、よろしくお願いします。」


「ようこそ、開拓地へ!」


アルトはここで第2の人生をここで歩むことになった。そのころ5人はというと・・・・






【マリーの場合】


「マリー、お前、教師にならないか?」


魔法の里に戻ったマリーは両親から魔法学校の教師を勧められていた


「先生か、やれるかな。」


「貴方は魔法に関しては、右に出るものがいないじゃない。」


「う~ん。」


マリーは正直、迷っていた。自分に教師ができるのだろうか、他にも道があるんじゃないかと。でも魔法学校の教師は魔法使いにとって名誉そのものであり、魔法使いの間では尊敬の的である


「少し考えさせて。」


マリーは自分の部屋に戻り、じっくり考えた結果、魔法学校の教師を受けることにした。やはり魔法使いの性か、名誉を選んだのである。その後、マリーは正式に魔法学校の教師になった。マリーは期待半分、不安半分で魔法学校へ向かうのであったが、待っていたのは・・・・


「話を聞きなさい!」


「「「「「つまんねぇ~。」」」」」


マリーが受け持ったクラスは優秀だけど一癖も二癖もある問題児ばかりが集まっていた。マリーはこの問題児集団のいるクラスに放り込まれたのだ。しかも、この問題児集団の実家は名門ばかりなので、余計たちが悪く、マリーはお手上げだった。魔法学校の教師たちも事なかれ主義の連中ばかりでまともに向き合っているとは思えない


「みんなといた頃に帰りたい。」


マリーは休み時間の教員専用トイレで、毎回呟くのであった。仕事を終えた後、マリーはそのまま帰宅した。両親は私の様子を見た途端に、申し訳なさそうな表情で私を出迎えた。私はそんな両親に悪いと思いつつ、仕事を続けた。休みの日にふと私はギルドに立ち寄った。なぜかは知らないが、足を運んだのだ。そしてある張り紙を目にした


「開拓地移住の募集。」


この張り紙を見た途端、私は天性の閃きを感じた。その後、私は両親に仕事を辞めたいこと、開拓地の移住をしたいと言うと、両親は反対せず、私の願いを受け入れました。そして謝罪されました。私は思わず涙をこぼしてしまいました。その後、魔法学校の教師を辞め、開拓地行きの馬車に乗ろうとした


「マリー、気を付けてな。」


「風邪には気を付けてね。」


「うん、いってくるね。」


マリーは馬車に乗り、開拓地へと向かうのであった






【サリーの場合】


「モタモタするな!1秒の遅れが軍の士気に響く。全速力で走れ!」


「「「「「はい!」」」」


サリーは、騎士学校に戻った後、ここで教官の任に着き、訓練兵たちを厳しく扱いていた。魔王を倒した勇者パーティーの一員としての功績もあり、騎兵隊の隊長に任命されたが・・・・


「見ろよ、精が出るぜ。」


「なぁ、女のくせにようやるわ。」


陰でサリーを妬み、嫉妬を口にする者たちが少なからずいた。サリーもそれには気付いていたが、誇りある騎士としてのプライドのみで自分自身を支えてきたが、騎士学校に仲間はおらず、孤独だった


「みんなはどうしてるんだろう、あの頃が楽しかったな。」


サリーは1人でいるときは、かつて共に戦った仲間を思い出していた。正直、言うとあの頃が楽しかった、仲間同士の絆というのを感じた。そう思うサリーは、ふとギルドに立ち寄った


「はあ~、なんでここに来たのだろう。」


サリーはふと、ある張り紙を見た。それは開拓地移住の求人票だったが、サリーの心は一瞬、ときめいたのである


「開拓地移住か、行ってみよう。」


サリーは、早速、騎士学校に行き、騎士学校の校長に辞表を叩きつけた。校長はわけも分からず、思いとどまるよう、説得したが、意志は変わらず、騎士学校を去った。その後、ギルドへ行き、開拓地移住の求人を募集し、荷物を纏め、開拓地行きの馬車に乗るのであった






【シディーの場合】


「私はどうしたら、いいのでしょうか。」


シディーは故郷に戻ったが、教会は既に無くなっており、シディーは他の教会を転々する日々を送っていた。国王から褒美として渡された褒賞金も底を尽きかけており、危ないと思ったシディーはギルドへ寄った。シディーは求人を探したが、仕事がほぼなく、途方に暮れていると、ある張り紙を目にした


「開拓地移住の求人?」


そこにあったのは、開拓地移住の求人の募集だった。だが食い扶持を稼ぐためには、是非もなかったシディーは開拓地移住を決意するのであった


「神の御加護を。」


開拓地行きの馬車に乗り、開拓地へ向かうのであった






【サカキの場合】


「開拓地で新しい道場を開くのですか!師匠!」


「うむ、そうだ。」


故郷に戻ったサカキは武術の師匠であるサイトウより開拓地で新たな道場を開設することをサカキに告げた


「師匠、なぜ俺だけに告げたのですか?」


「うむ、我が流派を新興させるには、やはり開拓地で広めようと思う。他の武術の流派に先を越される前に我等が押さえておくんだ。」


「師匠・・・」


「そこでお前に行ってもらいたいのだ。」


「俺にですか!」


「うむ、お前は魔王討伐の功労者として世間で名を轟かせている。正直に言うとお前の名声を頼りにしているのが本音だ。我が流派が更なる開花へと誘えるのはお前しかいないからだ。行ってくれるか?」


「師匠・・・・分かりました。開拓地で行ってまいります。」


サカキは荷物を纏め、開拓地行きの馬車に乗った。サカキの心中は期待半分、不安半分でいっぱいだったが、持ち前の闘争心で自分自身を奮い立たせ、開拓地へと向かうのであった






【ロッソの場合】


「はあ~、ここも滅んだか。」


ロッソは故郷に戻ったが、そこは何もなかった。ここにはロッソの住む村があったが、魔物の襲撃か、それとも天変地異か、原因が分からずにいた


「とりあえず、仕事を探すか。」


ロッソは転移魔法を使い、町へ戻った。その後、ロッソはギルドに寄り、求人を探したが、なかなか良いのがなかった。ロッソは諦めて、次の町へと行こうとした瞬間、ある張り紙を目にした


「開拓地移住・・・・」


その張り紙を見た瞬間、ロッソの胸が躍った。そしてギルドの職員に開拓地移住の募集をした。ロッソ自身もなぜそうしたのか、分からないが、直感というものが、そうしろと命じているように感じた


「開拓地、我が人生の懸け橋となるか。」


自らの直感を信じ、ロッソは開拓地行きの馬車に乗るのであった






【トールの場合】


「ふう、疲れたな。けど、一から育てるってのも悪くねえな!」


トールは開拓地で農業を始めていた。開拓先住民であるゴルドンに農業を学び、田畑を耕した。トールの耕した畑では、ニンジン、ジャガイモ、タマネギ、サツマイモ、ニンニク、カブ、ダイコンが取れたのである。出来上がった作物を交換し合い、開拓民同士、助け合って生きていた


「ふう、今日は大量に収穫できたぞ!」


トールは自宅に帰る準備をすると、5台の馬車が止まっていた


「お、新たな開拓民かな?」


トールは馬車に近づくと、5台の馬車戸が開いた。するとそこに懐かしい面々が現れた


「あ!」


「「「「「あ!」」」」」


俺は思わず声をあげ、そして5人も同時に声を上げた。かつての勇者パーティーが開拓地で集まったのである


「マリー、サリー、シディー、サカキ、ロッソ、お前らなんでここにいるんだ!」


「「「「「それはこっちのセリフだ!」」」」」


とりあえずアルトは5人を自宅に招いた。その後、アルトは5人がここに来た理由を聞いて、それぞれ大変だったんだなあと思いつつ、5人を温かく迎えた


「何がともあれ、勇者パーティーが揃ったな。」


「そうね、やっぱり私たち6人でいることが一番だと実感したよ。」


「そうね。」


「みんなと再会できて良かったよ!」


「ああ、俺も知らない奴よりも知った奴といた方が、いいな。」


「やはり私の直感は間違っていなかった。」


「マリー、サリー、シディー、サカキ、ロッソ、色々と大変だろうけど、俺たち勇者パーティーの復活を祝して頑張ろうぜ!」


「「「「「オオオオオオ!」」」」」






【勇者パーティーのその後】

6人は勇者パーティーを復活させた後、開拓に従事した。マリー、サリー、シディー、サカキ、ロッソも初めての農業に苦労したが、収穫した時の喜びを噛み締めた。生活に余裕が出てきたところ、それぞれ家を構えた






マリーは、魔導師のロッソと結婚した。2人は持ち前の魔法で開拓の発展に貢献し、魔法塾を開校した。そこには魔法使い・魔導師を目指す子供たちと一緒に魔法の勉強をしつつ、楽しい日々を送り、ロッソとの間に子供を儲け、幸せな日々を置くのであった






サリーは、武闘家のサカキと結ばれ、ともに武術学校を開いた。二人の間にできた子供たちとともに厳しくも、温かく楽しい生活を送った






サカキは女騎士であるサリーと結婚し、ともに武術学校を開いた。子供たちを育てつつ、自分の流派を多くの弟子たちを導きながら、平穏な日々を送るのであった






シディーは、僧侶を辞め、勇者のトールと結婚し、2男2女を儲けた。夫のトールが【何でも屋トール】を開業し、忙しくも平穏な日々を送るのであった






ロッソは、女魔法使いのマリーと結婚し、子供を儲けた。その後、マリーとともに魔法塾を開校し、魔法使い・魔導師を目指す子供たちとともに、忙しくも充実した毎日を送るのであった






そしてトールは僧侶のシディーと結婚し、2男2女を儲けた。後に【何でも屋トール】を開業し、開拓民たちの顔役として忙しい日々を送りつつも、仲間たちとともに、末永く暮らしたのであった






めでたし!めでたし!








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