ネッシーの娘
米元言美
ネッシーの娘
ネッシーのことなら,みんなさんは,すでによくご存知のことでしょう。
恐竜時代に,地球上に広範囲に生息していた恐竜のうちの海で暮らしていた恐竜によく似た怪獣のことである。
しかし,ネッシーには,子供がいたことは,ご存知でしょうか?
実は,ネッシーには,浪子という娘がいた。浪子の父親は,人魚だったため,浪子は,ネッシーより,人間に近い体になっていた。
ネッシーは,一人娘の浪子を愛情を注いで,大事に育て,浪子が大人になっても,一緒に暮らし続けていた。
ところが,ネッシーは,高齢で浪子を産んだため,浪子が成人した頃には,随分と老化が進み,日に日に体力が衰え,衰弱していっていた。
浪子は,親のネッシーのこの姿を見るのは,とても辛かったのである。
大昔から,面白半分に釣り人や水夫を脅かし,その姿に感銘を受けた者が文章や絵画で表し,伝承で語り継がれてきた伝説の生き物としての親のネッシーの存在は,娘の浪子の誇りでもあった。その威勢が良くて,勇ましい姿がみるみる衰えていくのを見ていると,浪子は,胸をえぐられるような気持ちになった。
そして,ネッシーを救う方法は,きっとあるはずだと思い,必死で調べた。すると,とうとうある日,見つけた。
怪獣の住処となっている「黒海」の果てに,魔法の真珠があると言う話にたどり着いた。この真珠には,どの生き物も不死不滅にする力があると言われていて,世界に一つしか存在しないのだ。
真珠の力を引き出すためには,満月の光で真珠の表面を照らし刺激してから,不死不滅にしたい生き物に飲み込ませる必要があると書いてあった。
「黒海」は,ネッシーが浪子を産む前に長年過ごした海だが,子育てには良くない環境だと考えたため,浪子を授かってすぐに,こっちの海へ移ったのだった。浪子は,「黒海」には,行ったことがないため,親のネッシーから聞いた話しか知らないのだが,ネッシーを救うためなら,どの怪獣とでも戦う覚悟だった。
浪子は,次の朝に出発することにした。親のネッシーを心配させたくないため,黙って,ネッシーと暮らす洞窟を出て,「黒海」へと向かった。
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