1部1章 ポーター編

幕間0.1話 始まり



 ※



 ……苦しい ボクは   は?  何を しているのだ ろう……



 喉が 痛い? 違う  これは  喉が渇いて 水分が足りな い……


 腹が  痛い  これも?  空腹 だ  栄養が……



 ここは  どこ いや どうで も いい 


 うう ボク  なんだ きたな い 場所  きた な い


 物 も 場所も 建物も 誰か いる きたない 人 なにも かも きたな い


 み 水 水分 あれから どれぐらい たった?


 日が 登って 沈んで  何回?


 覚えて ない


 身体 足  動かなく なて きた


 も 歩け な い



 死  死ぬ?死ぬ??死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死…………




 だ め も 死 いや だ


 拒否 で も 



 どう すれ ば  


 あ     う え  なに か あた る あ め あめ 雨!


 うご け うつ むく な 身体の むき  を 


 ………


 口 を開けて 雨 みず だ……の む……







 う  ぁ  生 きて る……


 あ  うえ 雨 やん…だ



 星が みえ   る






 ※






 雨で、なんとか。死なずにすんだ


 ボクは、ともかく、水や食べ物をどうにかしなきゃ、いけない


 汚い街。奥に、行くと、色々なゴミが積まれている 


 何か役立つもの、あるかな?


 ガラクタを崩して、ろくなものが、ない


「おい、おまえ!」


 これは、穴が、ある


「………」


 もっと、奥に、おも、い。もちあがらな、い……


「お前、つってんだろ!ムシすんなチビ!」


 ?


 後ろに汚い、子供、いた


「ここは、おれのしシマなんだよ。おまえ見ない顔だな。新入りか?」


 ? しま 縞 島? 海は……ない


「ろくに食ってないみたいだな、あぁ~~?なんか言えよ。言葉わかんねーのか?」


「わか、る」


「お、よしよし。それじゃ、さっき聞いたことに答えろよ」


「さっ、き?ん?」


「……。頭わりーんか?繰り返してやるよ。新入りか?」


「新入り……わから、ない。気が、付いた、ら、いた……」


「んー?りょうかい。迷子ってこたーねえな。そのボロだ。もっとマシなの着ろヨ、オラ、そこらにあるだろーが」


 汚い子が、汚い布、持ってきた。服?


「オラ、着ろ、ってその下まっぱだかかよ。おら、多少おおきくてもがまんしろよ」


 服、着て、なかった。なぜ?


 持ってきたもの、受け、取った。凄い汚い……


 捨てたいけど、あの子、すごく睨んでる


 服?を、着る。ボロも持っておこう。なにか役立つ、かも


「腹、へってるだろ?」


 当然、うなずく


「俺のコブンになるなら、食わしてやらねぇでも、なあ……?」


 ……何かを期待して、すごくこっち見てる


 ボクは考えて……仕方なく、うなずいた


「……なんかすごく間があったな……。まあ、いい。お前は俺のコブンだ!」


 汚い子、すごくまんぞくげにうなずいてる


「きちょうな水や食い物わけてやるんだ、オレのメイレイに逆らうなよ!」


「俺は〇×だ!おぼえておけよ!でも呼ぶ時はオヤブンだ!コブンなんだからな!」


 この子の名前、この時、確かに聞いた、筈なのに、思い出せない……



 ※



 それからオヤブンカクレガに行って、食べものや水を、もらった


 なんかよくわからない赤茶系のかたまり


 ゴミのかたまりみたい。嫌な味がする。吐きそうになった、けど、なんとか飲み込んだ


 それからしばらく、オヤブンにいろいろ教わりながら生きた……




 二人でゴミの山をあさり、使えそうなモノがないか探した


 水筒がみつかった時は、二人で小躍りした


 オヤブンは同じような物を持っていて、二人で水をくみにいった


 汚い街から出た。オドロきだ。汚い街に終わりがあった!


 オヤブンのシジで、道のはじっこを、人目を気にしながら走った


 フツーの街。キレイな街。キレイな道。キレイな人


 でもオヤブンは言った。ここは敵の街。あいつら全員、敵だ、と、だから敵だ!


 そして、随分走ると、水の音がした


 あ、あれ。なんだっけ……泉?


 オヤブンはあれをさして、走って水をくんで、物陰までもどってくるんだ、といった


 はしった。すると、急に前に人が。長いボウを持ってる。よけてもそのボウでいけないようにする


 ボクはスキを見て、そいつの股下をすべってくぐった。水!


 追いかけてくるから、余りくめなかった。半分もいってない


 がっかりして物陰に、回り道しながらもどると、オヤブンがニヤニヤ笑っていた


「オトリ、ごくろう!いやー、こうもうまくいくと思わなかったぜ!」


 と言って、いっぱいになったオヤブンの水筒をとくいげに見せた


 あぜん


「さ、帰ろうぜ。いつまでもいると、他にもこわい大人が、たくさん来るからな」


 そう言ってさっさともどっていく


 ……コブンはつらい……



 ※



 それから、欠けたナイフをみつけたりもした


 鳥とかを取るワナをおしえてもらった。きちょうなしょくりょうから餌を出し、岩をななめにしその下におく。すごく細い木の枝でつかえ棒をして、ほうち


 鳥が、エサを食べるとき、えだにとまり、おもさで枝が折れ、岩が倒れる。鳥ぺしゃんこ


 どうせ食べるからかたちは関係ない。ニクは焼く~~~


 後、自分の近くにえさを置いて、目のまえでにんぎょうのふりをするのも、おしえてもらった


(ボクは生きてない生きてないにんぎょうにんぎょう……)


 鳥がちかづいたら、ナイフで切る!……なかなかうまくいかない……


 オヤブンは簡単そうにやってのける。すごい!やっぱりオヤブンだからすごい!




 げすいどう、教えてもらった。この水は、のめない


 ここに、ネズミとか、よく分からない生き物がたくさんいる


 あぶない生き物もたくさんいるけど、鳥よりとりやすいし、取ったらにゅうねんに焼けばたべれるって、オヤブン言って、ボクにたべさせようとする……


 ボクがたべて、へいきなのはオヤブンたべる


 ズルい……




 それからオヤブンは、汚い街にくるキケンなオトナ達の話をした


 ドレイショーって言ってた。なにかショーをする人?


 そのコブンの大人が、とくに子供をねらってくる、らしい


 汚い街の大人も、そいつらのコブンになったりするらしい、キケンだ


 つかまった子供は、ぜったいに戻ってこない……


 でもボクらはつかまらない、だって、オヤブンもボクも、スゴク足がはやいんだ!


 だからキレイな街のフンスイだってへっちゃらだ!



 ある時、オヤブンがころんで、足を切った


 その時はへーき、って言ってたんだけど、その夜、すごい熱がでて、ボクはただ見てるしかできなくて……


 オヤブンはあれから、すごくやせて、はやく走れなくなった……


 ボクがとってくる水をのんで、ボクがとってくるエモノを食べて、オヤブンしっかくだな、って笑ってた……


 そのうちおこりっぽくなって、そして………




 オヤブンは言った


「ここにくるドレイショーが来るのはおしえたが、もうひとつ、くるやつらがいる、それは、キョウカイの奴らだ。なんか俺らにカミサマがお恵みを、とかいって食い物くばる奴らがいるだろ。そいつらのナカマだ……


 なにかんがえてるんだか、コジインとかに子供いれて、嘘くせー説教するところだって聞いたことがある。でも、その代わり、食べ物は食わせてくれる、らしい……」


 ボクは、ただだまって聞いていた……


「ときどき、ネズミ色の服着た、おばさんとかがこの街うろついてただろ、それがそうなんだが……。こまったことに、ドレイショーの奴らがその服着て、子供だまくらかす事もあるんだ。


 だから、大人は敵なんだよ、シンヨウならねぇ……!」


 外から遠く、オンナの人が、やさしそうな声で、でてらっしゃーい、とか言ってる……


「で、今外にきてるやつらがドレイショーの奴か、キョウカイのおばさんなのか、わからねー

 カクリツだったかな、は半分だ。コイン投げて、オモテかウラか、ってコブンはコイン見たことねー、かな。どっちかが出るカクリツは、どっちも同じなんだってよ……」


 オヤブンは、きゅうに立ちあがってフラフラあるきだす。すごくあぶないかんじだ


「オヤブン……」


 ボクがとめようとのばした手を、オヤブンはらんぼうにふりはらった


「ここでは、食べ物も水もきちょうだ。ふたりぶん、ずっと取ってくるのなんか、ムリなんだよ!」


「でも、ボクはオヤブンに水も食べ物もずっともらってた!だからこんどは!」


「やめろ、オレははじめから、お前をコブンとしていいようにコキつかうために助けたんだよ!それが、走れなくなって、ただバカみたいに寝て食って寝て食ってしてられるか!」


 オヤブンはボクをおしのけて外に出た


「いいか、オレは運がいいんだ、だからいま来てる奴らは、キョウカイのナカマだ。しかたねーから、コジインとやらの世話になりいくぜ。アバヨ」


「オヤブン!」


「コブン、オレは、いいオヤブンじゃなかったかもしれねーが、お前はいいコブンだったぜ!………生きろよ………」


 そう言ってオヤブンは、足を引きずりながら、声の方にあるいていってしまった……



 ※



 あれからもうずっと、カクレガにオヤブンは戻ってこない


 オヤブンは今……




 ボクはどうしてもあの子の名前を、思い出せないんだ………

 

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