発見
「…………………………」
「……マスター、いったい何をしてるんだ?」
ある日の昼頃、水中戦の鍛錬を終えたティールは適当に捕まえた魚を捌き、中身を視ていた。
「肉と、魚の身って生で食べたらヤバイじゃん」
「そうらしいな」
「でもさ、モンスターは基本的に俺たちみたいに焼いて食べるってことをしないじゃん」
「…………確かにそうだな」
人型のモンスターであれば、知識を付けた個体が人間と同じく焼いて食べるという行動を取った例は確認されているが、基本的にどんなモンスターや人間の肉でも彼らは生のまま食べる。
「ティール、それは私の国の者たちが、モンスターと私たちでは体の構造が違うからと結論を出しているぞ」
「まぁ、確かに俺たちと全然違うとは思います」
これまで何体も何体も……数百体以上のモンスターを解体してきたティール。
それらの経験から、人間とモンスターの体内構造が違うというのは、よ~~~く知っている。
「俺も別に体の構造とか……臓器? の役割なんて全然知りませんけど、でも気になるところがあるんですよ」
「ほぅ、気になるところが」
「はい。俺たちが食べた物って、胃っていう臓器で消化? されてクソになるんですよね」
ティールは本当に細かい知識を知らない。
二人の師匠からもその辺りの知識は教わっていないが、モンスターの解体を行う過程で、胃という場所がそういった役割を持っていることだけは知っていた。
「もしかしたらモンスターも謎の痛みに悩まされてるのかもしれませんけど、そうじゃなかったら、生の肉を完全に消化出来てるから、変な痛みが起きない……っていうことになると思いませんか」
「…………つまり、謎の病や呪いという訳ではなく、魚の身には人間に痛みを与える何かが潜んでいる、ということか?」
「俺はそうなんじゃないかなと思って、今色々と視ているところです」
ティールの目の前には一体だけではなく、複数種の魚の身をじっくりと鑑定を使って視ていた。
「つまり、目に見えない……肉眼では確認できないような存在が潜んでいるのか」
「そうじゃないかって、僕は思ってっ!!!??? な、なんだこいつ」
じっくり視ていると、小さくはあるが、ギリギリ肉眼で確認できる細長い何かを発見。
「っ、なにかいたのか!」
「この辺りに細長いやつが」
ラストとアキラものぞき込むと、そこには確かにうにょうにょと動く細長い何かがいた。
「っっ……確かに、いたな」
「失礼します……………………この生き物? は、寄生虫と言うらしいですね」
「寄生虫……寄生ということは、最終的にその相手を乗っ取るのか?」
「多分、そういった力もあるらしい…………けど、これは俺の予想だけど、こいつはモンスターじゃないから、人を操れるほどの力はないんじゃないかなって」
「なるほど……であれば、他の生物の意識は乗っ取れると」
「小さな虫とか? あまり体が大きくない生物とかなら、操れるのかもしれないね」
とりあえず、寄生虫がいた場所を火で燃やし尽くし、消す済みにする。
「っ!!!??? ま、マジか」
一度寄生虫という存在を認識することが出来たティールの鑑定は、次々に寄生虫がいる箇所を発見していく。
「ここはダメで……ここもダメ。この切り身もダメで、こっちもダメ」
ダメな個所をどんどん消し炭にしていくも……それなり箇所が残った。
「……そういえばアキラさん、生の魚って美味しいんですか?」
色々と解ったことがあった。
だが、ティールは肝心の美味さを知らない。
「美味いとは何度も聞いた……私の故郷には醤油という調味料があるのだが、それと酢を混ぜた白米と一緒に食べる寿司というのは、それはもう……極上の美味さらしい」
「「…………」」
昨日と同じく、表情に一切嘘がないアキラの表情。
彼女の言葉を聞き、ティールとラストはごくりと喉を鳴らした。
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