不公平で理不尽なこの世界で。ボクは戦う事を決めた。

結人 哀

第1話 記憶の中の

朝日が差し込み始めた時間帯にたまに見る夢。

目の前は真っ赤な液体で染まり自分の手も真っ赤に染まっている。その手は今の手よりも幼く、生ぬるい感覚ははっきりと感じられた。その先には2人の大人が倒れている。そして僕の後ろには髪の毛は真っ黒で肌が白く前髪の隙間からガラス玉が濁ったような瞳がこちらを覗いていた。


「どう?綺麗でしょ?」

「…な、なにが?」

そう、誰かが震えながら聞いたんだ

「 君のジジッピーピーピーがバラバラな所かな?」

いつも大事な所だけがカセットテープが壊れた様な音がして聞き取れない。

これは、誰なんだ?……



トントンッ

「おーい、ゆたかー?起きてるー?」

「……またか、、、」

また、あの夢。


ドンドンッ

「ゆたかー!!!起きろー!!朝ごはん!」

「ッ分かってる!起きてる!」

毎朝せんりに起こされてる。

いつもおちゃらけてるくせにこういう所はおかん気質。僕達は施設暮らし。僕には両親の記憶が無い。物心着いた頃には優しいお母さんの代わりがいるこの施設にいた。せんりも前にそんな感じって言ってたかな。僕とせんりは兄弟のように高校2年生まで立派に育った。



「せんりー、今日のご飯なに?」

「卵焼きにー、鮭にー、味噌汁にー、、、」

そんな何気ない話をしているとテレビから速報の音が鳴った。

『本日深夜3時頃、何者かによって手足を切断された遺体が一軒家の住宅より発見されました。犯人は逃走中とされており、今もまだ捜索が行われています。』


「え、やば、」

「手足切断って、、、」


周りにいた先生たちや小さい子供たちも興味を持ちテレビに釘付けになっていた。


パンパンッ

僕が施設に来る前からいる真由子先生が手を叩いた。

「さっ!みんな!ご飯食べて準備を進めて!」

この施設には幼稚園生から高校生までが生活している。高校生は僕たちふたりだけだけどね。

みんなはーいと返事をしていつもの雰囲気に戻り食事を始めた。僕達もそれに続く。



「せんりー、今日学校めんどくせー」

「いやいやいや、行かないとまた真由子先生に怒られるぞー笑」

「んー、」

ゆたかはいつもこんな感じだ。朝は低血圧でテンションが低い。2時間目が終わると元気になる。感情も豊かになる笑

そんなこんなでいつも玄関を出る。

いつもと違ったのは出た瞬間に不審者らしき2人に声をかけられたことだった。


「やあ、おはよう、久しぶりだねゆたかくんにせんりくん。」

「おい、いきなり話しかけたら不審者だと思われるだろ!」

「あ、そっか、ごめん。」

「ごめんね、怪しい人じゃないからね?」


……………

「え?誰?なんで俺たちの名前知ってるの?」

「……きもちわるっ」


「え!?覚えてない!?」

「…そりゃそうだよね笑」


誰なんだこの2人は………


この二人がきっかけで僕はあることを思い出す。




to be continued









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