第1話 ミステス村
この世界に太陽は無い。いつから消失したかは不明。
1日中、辺り一面に暗闇が行き渡っており灯りが無くてはならないためそこで使われてるのが光る花だ。街を見渡せば光る花で埋め尽くされているほど重宝される必需品。
文明は中世であり機械の類は一切なく木材で統一されている。とても高水準とは言えないが貧富の差は浮き彫りになっている。
悲憤慷慨の雰囲気が漂っておりいつ内乱が起きてもおかしくない状況下に直面にしている村があった。名はミステス村。
時刻は朝であるが周囲は暗闇だ。
「そろそろロニカ起きろ、時間だ」
金髪の男に強い口調で起こされた。
「っんー。レウスおはよう。」
意識が覚醒しきれてないまま瞼を無理矢理持ち上げた。
「絶望の時間だ、今日も働くしかないようだ。」
その口調はとても穏やかではなかった。
俺とレウスはまだ15歳の子供でありながらもこれから肉体労働をしなければいけない。
それは何故か。俺は度重なる悪事を働いたわけではない。
老若男女問わず誰であろうと逆らえば射殺されるのだ。これは不合理である。
御都合主義の態度しか取らない品格がねじ曲がってる人間なんて金魚の糞以下だ。
癪に障る出来事の積み重ねをひたすらに耐える時間に付き合ってる余裕は無い。
この理不尽と不条理極まりない鳥籠から抜け出すには・・
「ニカ…。ロニカ!聞いてるか?」
レウスが呆気に取られながらも尋ねてきた。
「あっ…ごめん考え事してた。」
自問自答していた俺は驚きつつも返答した。
「今日でこの生活が始まってから4日目か…」
ロニカがぽつりと悲嘆に呟きながらカレンダーの数字にバツを付ける。
「ロニカ何かいい策略は思いついたか?」
「その前にまず状況を整理したい」
寝具が軋む音を立てながら起き上がったその瞬間。
「医者を呼んでください、このままだとこの子の身が危ないんです、本当にお願いします…」
外から嘆く声が聞こえた。
格子窓から覗いてみるとそこには血の涙をしながら土下座してる男と人並み以上の汗をかきながら苦しそうにしてる女の子が横たわっていた。
「何を言うかと思えば私情か。今は無稽の議論をしてる場合ではない」
腰に鳥銃を携帯してる者が達観しながら述べた。
「それは知っての承知です。自分が2人分の懲罰を受けます。なので医者をお願いします…」
嗚咽しながらも男は屈せずに抗議を続ける。
「ほう?面白い。顔を上げろ」
刹那。男の顔面に凄まじい勢いで蹴りが入る。男は瞬く間に身体が横転し地面に倒れ込んだ。
「前哨戦の挨拶代わりだ。人好しなお前気に入った。一緒に付いてこい」
2人を連れて暗闇へと姿が消えていく。
俺とレウスは傍観することしか出来なかった。力無き者が反乱を起こすのは愚の骨頂だ。
「無力な俺が憎いな…」
力強く握った拳を身震いさせながら悲嘆に呟いた。
あの2人は地下送りされ拷問を受けてるのだろう。
このような物騒な事は日常茶飯事に過ぎない。
このミステス村は王政の目が行き届いてない現状を行使して身分の低い人間を玩具扱いして愉しむ品格の無い者に支配されている。
俺は今まで見てきた。労役を怠けてると拷問を受けるし逃走を図ろうとしたら銃殺される。
勿論、命令に逆らった者は死ぬ。
何一つ許容してくれない圧政下された村である。
「他人の自由を否定する者が自由になる資格があっていいはずがない…。」
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