心の謎が解けるまで
海月海星
プロローグ 心のブックカバー
大切な人を失う悲しみというのはどのような形であれ、人に大きな影響を与える。
僕の場合は大切な人を失う悲しみをこれ以上味わうことがないように、大切な人をこれ以上増やさないことを選んだ。
最初から手にしていなければ、失う悲しみを味わうことはない。最初から望まなければ手に入らない苦しみを味わうことはない。
僕は自分の心にブックカバーをかけることを選んだ。
もちろんこのままでいいとは思っていない。数少ない家族以外で関わる人である、幼馴染の美空と親友の奏太はそんな僕を変えるためにアドバイスをしてくれたり、僕を明るい所に連れ出そうとしてくれた。
それでも僕は変わることを拒み、心のブックカバーを外すことは決してなかった。
そんな僕は明日、高校へ入学する。この高校生活で何か変わるきっかけを掴むことはできるだろうか。
固く閉ざされた心のブックカバーを外すことができるだろうか。
そんなことを考えながら暗い部屋の中、僕はゆっくりと瞼を閉じた。
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