第7話 実技試験開始

 


「では、ルールを説明させていただきます。私と副ギルド長が審判を行います。私たちが止めた場合にはすぐに試験を終了してください。時間は無制限です。降参した場合も速やかに試験を終えてください。以上で説明を終わります。それぞれ位置についてください」


 こうして試験が始まったわけだが、俺としては実力をきちんと評価してもらわないと困る。さっきはガンツを煽る目的で相手にならないなどと言ったが、実際にはそれなりの実力はあるようだ。佇まいや纏う魔力からそれなりにやれることが分かる。


「俺様を怒らせたからには見せ場もなく終わらせてやる!『力よ湧き上がれ!』フィジカルブースト、エクストラスキル《豪力》」


 ガンツは身体強化系スキルの重ね掛けをすると一気に迫ってきた。

 それなりの実力があることは分かっていたが、正直、これは予想外だった。

 元々の体格に、身体強化とエクストラスキル《豪力》が重なることで、身体能力においては俺よりも上だ。ガンツのレベルはおそらく50〜60程度のはずなので、かなり近接戦に特化していると思われる。


「『空駆ける翼を我に』ソニックブースト」


 俺は速度上昇魔法「ソニックブースト」をかけると横に飛んで回避をする。

 すかさず追撃してくるが、俺はひたすら回避し続ける。


「チッ!ちょこまかと逃げ回りやがって!逃げてばっかじゃ評価はされねぇぞ!」


 挑発してくるが相手にしない。

 確かに、逃げているだけじゃ評価はされないだろう。

 勝てない相手から逃げることも大切ではあるが、前提としてある程度の戦闘能力がなければ何の役にも立たないからだ。

 だが、俺は逃げるだけのつもりなどない。


 5分くらいひたすら回避に専念した結果、一度も攻撃は受けることなく、相手の癖のようなものも掴めた。

 試験官にも回避能力を見せることはできただろう。

 次は反撃だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る