MEME-01
詩野聡一郎
MEME
※¥/>という言葉がある。
正確にはこのような記号四文字で表現されるものではなく、子音三種と母音四種を組み合わせた言葉と考えられているが、※¥/>が正確には何という言葉であるのかは、世界中の研究者が取り組んでいるにも関わらず未だに明らかになっていない。
しかし、差し迫ったその緊急性から、国際的な組織が旗振り役となって、この※¥/>という言葉によって引き起こされるものをMEME-01と呼称することが決定された。
MEMEー01の名前の元となったのはMEME(ミーム)という、かつて生物学者によって提唱された科学的概念であり、個人間を伝達される情報を遺伝子的に捉えたものであるといえる。
MEMEについては、一語同士が集まりある程度のまとまりをもった時に生じるゲシュタルトであると解釈して差し支えないだろう。よりかみ砕いて言うならば、MEMEは「言葉の意味」であるともいえる。
人間の脳と認知については未だに研究途上であるが、人類は直観的にMEMEの存在を確信することができてきた。
しかし、問題となったのは、排他的に増殖するMEMEが現れたことだ。
もともとMEMEは増殖機能を持ち、人から人へと説明・伝達を介して、他人の中に複製される。それはさながらウィルスのようであった。
中でも排他的に増殖するMEMEは「洗脳」のようにも呼称できるだろうが、MEME-01は「洗脳」という表現では片づけられないほどの侵襲性と有害性を持っていた。
概すると、MEME-01は世界で初めて確認された情報感染症であったのだ。
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