第肆章 畜生の襲来

「耳を洗いたくなるようなうんざりする話であろう? しかしな、その罪深き過去があるからこそ今の愚僧がある。当然、誇れるようなものではないが、愚僧はこれからも自分の過去を否定する気は無い。それこそが罪を忘れぬ唯一の方法ぢゃからの」


 大僧正様の凄まじい過去を聞かされて尚、私は幻滅をする事はなく、ご自分の罪と真っ正面から向き合われている事に益々尊敬の念が強まったくらいだ。

 因みに現在、聖都スチューデリアの城下にはスラム街は存在せず、元スラムの住人達の努力によって今や高級住宅街となっているらしい。


「大僧正様のお話は大変勉強になりました。私のした事は思い出すたびに身悶えするくらい恥ずかしいものですが、その気持ちを戒めとしていきます」


「そうか、そうか。愚僧もそなたの役に立てて嬉しく思うぞ」


 今まで雲の上の存在だと思っていた大僧正様に頭を撫でて頂くのは畏れ多い事だけど、私の心の中は温かいもので溢れていた。


「しかし遅いのぅ? 随分と話し込んでしもうたが昼休みはまだ大丈夫なのか?」


「云われてみれば……いつもならとっくに帰ってきてもおかしくはねぇンだが?」


 時計を見れば既に十二時五十六分を指している。一時にお昼休みが終わるので、普段の几帳面な二人ならもうとっくに戻って午後の仕事の準備をしているはずだ。

 しかし、時計の針はどんどん進み、一時を指そうとする頃になって事務長が血相を変えてギルド長室に駆け込んできた。


「た、大変です! クーアさんが異端審問会に連行されてしまいました!」


「何だと? まさかクーア君の正体が知れたのか?」


 詰め寄るギルド長に事務長は、分かりません、と首を横に振るばかりだった。

 異端審問会とは各地にある星神教の神殿を守護する神殿騎士達で編成されている集団で、主に平和を脅かす危険思想の持ち主や星神教の教義に反する者達を取り締まっており、魔女狩りが盛んだった時代では特に検挙率が凄まじかったという。


「異端審問会のリーダー、フェニルクス卿が自らクーアさんの肩を掴んで連れて行ってしまって……クーアさんもフェニルクス卿に何事かを耳打ちされると表情を引き締めて、何故か自分から同行されて……私は同行を許されず、説明もされないままだったので、どうして良いのか分からずギルド長のお知恵をお借りしたくて……」


「まずは落ち着け! サラ、シャッテに茶ァ淹れてやってくれ!」


「は、はい!」


 私自身、状況が掴めず呆けてしまっていたけど、ギルド長の声に漸く動くことができた。

 フェニルクス卿とは先の事務長の言葉にあったように、異端審問会のリーダーにして神殿騎士団の団長でもある。

 何度かお見かけしたことがあるけど、女性ながら男のような口調で話し、背も男に負けないほど高い。顔立ちも端整ながら中性的な精悍さが同居しており、下手な男より凜として恰好良いので彼女に憧れる少女は少なくない。

 燃えるような真っ赤な髪を腰まで伸ばし、装備は胸を護る真っ赤な鎧、大胆にカットしたローライズのレザーパンツも赤く、金属製の手甲と脛当てもやはり赤く塗装されている。ご丁寧に鉢巻きまでも赤い。惜しげもなく晒すお腹は鍛え上げられて六つに割れているけど、それでいて女性らしさを失っていないという奇跡の均整を持つ美貌の女性騎士。人呼んで、『ミス・クリムゾン』。それがフェニルクス卿或いはサー・フェニルクスなのだ。


「けど、何だってあのチンチクリンが異端審問会に? 星神教徒じゃないのは前から聞いていたけど、それで異端視するような心の狭い宗教じゃないし……」


「ま、心配はいらぬぢゃろうて」


 給湯室で薬罐を火にかけながら独りごちていると背後から声がかかった。


「うひゃい!」


「ほっほっほっほ、年頃の娘があげる悲鳴ではないのぅ」


 なんと背後にいたのは大僧正様だった。


「驚かせてすまん。シャッテの嬢ちゃんもそうぢゃが今のお主も心配でな。声をかけさせてもろうた」


 心配? 私が? 人から心配されるような事はしていないはずなんだけど……


「空の薬罐を火にかけておる時点で説得力がないがの」


「あっ! しまった! って、あちちちちちちちちっ!」


 慌てて薬罐の取っ手を掴んでしまい、その熱気に目を白黒させている端で大僧正様がニヤニヤと嗤われていた。


「聞けば普段から毛嫌いしておるそうではないか。クーアが異端審問会にさらわれたといってお主が心配する義理はあるまい?」


「わ、私が副ギルド長を心配する訳がありません! 私が案じているのは、想い人を連れて行かれた事務長の胸中ですわ!」


「そなたがそう云うのであればそうなのであろうな」


 何か含みのある響きを持たせながら大僧正様は薬罐の上に水の塊を創り上げ、そのまま中に注がれた。

 流石は『水』と『癒し』を司る『亀』の神を守護神に戴いていらっしゃるだけあって、空気中の水分を集めて水を創造する『アクアクリエイト』の魔法もお手の物だ。

 しかも大僧正様は半世紀前に『亀』の神々の筆頭であらせられるサフィア様から直々に魔王退治の労を労われたと云われており、その影響か、大僧正様が生み出された水はそれだけで霊験あらかたな聖水としての力を持っているという噂がある。


「そのありがたい聖水を惜しげも無く薬罐に入れられては、こちらとしてもどうリアクションしていいのやら……」


「ほっほっほっほ、所詮、水は水ぢゃて。されど、こいつで作る茶や煮物は旨いぞ」


 先程のお話より、こっちの事で幻滅しそうです……


「しかしなぁ……」


 いきなり遠くを見る眼差しになられた大僧正様に私は戸惑う。


「クーアと会えぬとなると、ちと厄介ぢゃな。恐らく大神殿へ戻っても二人はおるまい」


「何故ですか? 異端裁判なら大抵は大神殿で開かれると記憶していますけど」


 私の疑問に大僧正様はまるで子供に云い聞かせるような調子でお答えになられた。


「お主らは勘違いしておるようぢゃが、フェニルクスがクーアを連れて行ったのは裁く為ではないぞ。ひょっとするとフェニルクスにも手に負えぬ事態が起こって、クーアの手を借りようとしておるのかも知れぬて」


「フェニルクス卿が何故副ギルド長に協力を? サー・フェニルクスとあの人は知り合いなのですか?」


「知り合いも何もクーアはフェニルクスからすれば魔法のノウハウを授けてくれた師匠ぢゃよ。いや、クーアのみにあらず。剣は大将軍閣下が、槍と無手による戦いは愚僧が、そして知識においては我らが三人がかりで仕込んでやった謂わば聖都スチューデリア最強の秘蔵っ子なのぢゃ」


 大僧正様から驚くべき事実が告げられて私は二の句が継げなくなった。

 聖都六華仙のお二方に加えて、(あまり褒めたくはないけど)魔法技術と魔力なら世界最高の魔法使いによって仕込まれた過去がフェニルクス卿の強さの秘密……


「ん? 二人ではなく三人であろう?」


「え?」


「え? ああ、しもうた! うっかり口を滑らせた! クーアめ、秘密にしていたのか?」


 も、もしかして、あのチンチクリン、いやいや、副ギルド長も六華仙の一人とか?


「口が滑ってしもうた以上は仕方あるまい。そうぢゃ。クーアもまた聖都六華仙の一人であり、『風華仙』の称号を得ておる」


 いやいや、いやいや、下手すれば貴族様さえも道を譲ると云われる程の称号が何であの副ギルド長に与えられているのか分からない。


「自身の持つ魔道技術の一部を帝室に献上した事で宮廷魔術師達のレベルが底上げされ、その結果、聖都スチューデリアは魔法技術において世界でも類を見ない最高の水準を誇れるようになったからのぅ」


 また副ギルド長出現までは、魔法使い達は魔法を覚える為に師匠の家に泊まり込み、命じられた雑用をこなしながら師匠の使う魔法を見て盗むしか上達の方法が無かったらしい。

 そこで副ギルド長は『精霊魔法』の基礎の全てをマニュアル化する事に成功し、狭き門であったはずの魔法使いへの道を取っ付きやすくしたという功績があるのだという。


「魔法使いを志すくらいの者達ならば基礎さえ完璧に修得できれば後の応用、発展を自ら行えるだけの知恵がある。それからは優秀な後進達が数多く輩出され、僅か半世紀で聖都スチューデリアの魔法技術のレベルは世界最高峰と謳われるようになったのぢゃ」


 他にも大きな武功があったそうだけど、それは大僧正様も教えて下さらなかった。


「ま、昔ながらの古い魔法使い達や己が守護神の加護を得る『宿星魔法』第一主義の星神教徒からは快く思われていなかったようぢゃが、中堅ないし若手の魔法使い達からは『近代精霊魔法の父』と称えられてのぅ。聖都六華仙の仲間入りを果たしたのぢゃ」


 他にも眠りの魔法と体を麻痺させる魔法を組み合わせた新魔法で患者に痛みと恐怖を与える事なく外科手術を施せるようにするなど医術の発展にも貢献しているそうだ。


「痛覚だけを麻痺させる技術はまさに画期的でのう。昔は開腹手術の激痛に耐えきれず死した者が後を絶たなかったが、あの魔法のお陰でどれほどの重症者が救われた事か……」


 あ、あの人、目茶苦茶大物だったんじゃないの!


「まあ、実際に元を辿れば大物貴族の胤ぢゃしな。パテール、おっと、聖帝陛下もクーアには色んな意味で弱みを握られておったし、考えようによってはこの国で最大級の爆弾であろうよ」


 いやいや、いやいや、そんなん笑いながら云う事ちゃいますがな!

 おっと! いけない。思わずお国の言葉が出てもうたわ。


「ウチ、副ギルド長に思いっ切り無礼な態度を取ってしもうたんですけど……」


「気にする事はあるまい。正体を隠して仕事をしておったのはクーアぢゃ。今更そなたに態度を変えられてもクーアも困るであろうよ。知らない振りをして今まで通りにするのが一番ぢゃて、ん?」


 それが難しいんやけど……


「大丈夫ぢゃよ。クーアとてプライベートなら愚僧を呼び捨てにしよるし、聖帝パテールに至ってはパっつぁん呼ばわりぢゃ。それぐらい気安くした方があやつも喜ぼうよ」


 何をやっとんのよ、あん人は?

 あかん。標準語に戻る戻らんの前に頭が痛くなってきよったわ。

 とと、薬罐から沸騰を知らせる甲高い笛の音が鳴り始めた。

 私は五徳から薬罐を降ろし、五徳を支える三脚の間に灯した魔力の火を消す。

 私は人数分のティーセットを用意して、茶葉の入った缶を取ろうとしてやめた。


「確か遠方に行っていた冒険者から珈琲豆をお土産に貰っていたんだっけ」


 事務長は珈琲派なので紅茶よりこっちの方がリラックス出来るだろうと思い直したのだ。


「おお、コーシーか! 戒律で僧侶は刺激物が飲めんでな。有り難く馳走になろう」


 いやいや、珈琲ですってば! って禁じられているのに飲むんですか?

 いや、もう飲む気満々なんですね。


「あかん……たった一行の言葉なのに三回もツッコミを入れてもーたわ」


「そなた、中々に楽しいのぅ。時折り混ざる方言と律儀にボケを拾う性格、浅黒い肌から察するにカイゼントーヤの生まれかの?」


「スイチ(ご明察)です。生まれはカイゼントーヤで、十歳までそこで育ちましたんや」


 この世界は大まかに分けて五つの大陸が存在し、ここ聖都スチューデリアは世界の陸地のほぼ四割も占める巨大な大陸、ヴァールハイト大陸の中心部に位置している。

 そのヴァールハイト大陸の中心からやや南に大陸を分断するように運河が横たわっており、それを国境として大陸の南部を支配しているのがカイゼントーヤ王国だ。

 カイゼントーヤは世界でも造船と航海の技術に秀でているのが特徴である。

 この国は特に貿易に力を入れており、世界各国から珍品奇品を集めて莫大な財産を築きあげてきた。

 どんな時化にもびくともせず、暗礁が多い難所もすいすいと進むことができる船を持つカイゼントーヤは当然ながら水軍も精強で、いつの頃から海路も支配するようになり『海の玄関口』『海神に愛された王国』と呼ばれるようになったのだ。

 それ故、彼の国の民は余程の怠け者か商売で致命的な大失敗をしない限りは基本的に裕福で生活に余裕がある為、結果として娯楽関係も他国と比べて抜きん出るようになる。

 そのお国柄か笑う事が美徳とされ、お陰で会話の中にボケとツッコミが普通に混ざる訳の分からない国民性が根付いてしまったのだ。


「道理でこの国ではほとんど流通しとらんコーシーの扱いが様になっておる訳ぢゃ」


 大僧正様はコーヒーミルで豆を砕く私の手元を感心するように覗かれた。


「思い出すわい。クーアの奴、餓鬼舌で甘党のクセに惚れておった女がブラック派だと知るや、ミルクも砂糖も入れずに半泣きになりながら、美味しい、美味しい、と飲みおってな。端で見ていた愚僧やパテールは笑いを堪えるのに必死ぢゃったよ」


「ははぁ、ナリは小さくてもやはり男なんやね。事務長にちっともなびかんから、てっきりまだ恋愛感情を持った事がないんかと思ってましたわ」


 私の感想に大僧正様は愉快そうに笑われた。


「アレには五十年以上も想い続けておる女がおってのぅ。その一途さゆえにシャッテの嬢ちゃんの気持ちも分かる。一度は振ったものの、それでも果敢に挑んでくる嬢ちゃんを手酷く突っぱねる事ができなくてな。朴念仁を演じるよりないのであろうよ」


「なんかはっきりしなくて嫌やわ。きっちり引導を渡してあげた方がええのに」


「ほっほっほっほ、何十年生きようと人間そう簡単には割り切れぬて」


 感情が混ざるとカイゼントーヤ訛りが出るそなたのようにな、と笑われる大僧正様にウチじゃない……私は思わず口を両手で覆った。

 失態だ。あの大男にセクハラされても出さないようにしていたお国訛りも大僧正様の前では何故かあっさりとさらけ出してしまう。これも大僧正様の御人柄故なのだろうか?


「そうかな? クーアが異端審問会に連れて行かれたと報告を受けてから既にそなたの様子はおかしかったわい。そこへきてクーアの秘密を知った事で感情の抑えが利かなくなったのではないのかのぅ?」


「た、確かに衝撃的な秘密でしたが」


「一度、ゆっくりと己の心の内と対話してみる事よ。特に何故、クーアに強く当たってしまうのかをな。答えを急ぐ必要は無い。むしろ出なくとも良い。考える事が大切なのぢゃよ」


「考える…ですか」


 そういえば私は何で副ギルド長にキツく当たっていたのだろう?

 たとえ天下りだとしても上司だ。しかも何一つ落ち度の無い優秀な人間を五年も嫌えるものだろうか。

 もうギルド員のほとんどが副ギルド長を認めているのに私だけが反目している。


「澱みなく、"凜とした爽やかな気持ちで思案すれば七呼吸の内に決断できる”とは異世界の古人の言葉らしいがの。そなたの場合はじっくり考えてみる方が良かろうて」


「はい……」


「視野を狭くしてはいかん。よく考え、よく話し合う事ぢゃ」


 大僧正様のお言葉に頷こうとしたその時、絹を裂くような悲鳴が聞こえてきた。


「何ぢゃ?」


「外からですね」


 薬罐の火が止まっている事を確認した後、私は大僧正様と共に外に出た。


「な…なんて事…」


 ギルドの前で大勢の冒険者達が倒れ臥している。

 しかも、その殆どが血塗れで四肢が有り得ない方向に曲がっている者もいた。


『ウキャキャキャキャ、弱い弱い、弱すぎるぞ』


 斃されている冒険者達の中心にいたのは小柄で黒いインナーを着て、白いガウンを羽織る……恐らく少年の姿があった。


『ウキャキャキャキャ、世界を股に掛ける冒険者っていうから如何程のものかと思えば弱すぎて話にならねぇな』


 黒い金属製の付け爪のような武器からは夥しい血が滴っている。

 それだけでも不気味だが、更に異様なのは白い布で顔を覆っている事だ。

 しかも布の真ん中には赤い文字で大きく一文字書かれていた。

 スチューデリア語でもカイゼントーヤ語でもない。

 確か数百年前から我が家に伝わる異世界の文字だったはず。

 そして記憶の引き出しを片っ端から開けて漸く思い出した。

 私の記憶違いではなければ、あの顔の文字は『血』を意味していたはずだ。


『ウキャキャキャキャ、俺様に触れる事すら出来ないのかよ』


 少年の挑発にまだ立っていた冒険者の一人が槍を構えて突進する。


「な、なら、私の神速の突きを躱せるか!!」


『遅い』


 なんと少年は冒険者の槍を事も無げに搔い潜り、爪で冒険者の顔を斬り裂いた。


「嘘……あの人はAランクの槍遣いだったはずよ」


「ならば叩き潰すまでよ!!」


 別の冒険者が常人が扱うには巨大過ぎるハンマーを振り下ろすが……


『軽い』


「莫迦な?!」


 少年はハンマーを左手一本で受け止めるや右手の爪で腹を薙いだ。


「よくも友を!!」


『弱い』


 そして現役最強と名高い、『勇者』の称号を持つとされる冒険者の剣を白刃取りで受け止めながら顎を蹴り抜く。

 首の骨が折れる音と共に首が真後ろに向いて『勇者』は敢え無くこの世を去った。

 途端に周囲から悲鳴が上がり、人々が逃げ惑う。


『ウキャキャキャキャ、弱いなぁ。冒険者ってな、こんなものかよ。御主おんあるじ様も何故、こんな弱い連中に敬意を払えとおっしゃるのやがっ?!』


 猿のような笑い声を上げる少年が突然衝撃音と共に視界から消える。


「なら速くて重くて強い攻撃なら文句は無ェだろ?」


「ギルド長!!」


 そこには鬼の形相を浮かべたギルド長がいた。


「名乗りな。墓に刻む名が必要だからよ」


 普段から冒険者達の事を我が子のように思っていると公言しているギルド長は彼らを殺され、傷つけられた事で物凄く怒っている。

 するとギルド長の強烈な一撃を受けて吹っ飛ばされていた少年が跳ねるように飛び起きた。


『ウキャキャキャキャ、それで良い。そうじゃなきゃ面白くねぇ』


 先程、冒険者を相手にしていた時は無造作に立っていたのに、今は攻防一体の開手の構えを取っている。


『俺様はUシリーズ…じゃねえや。『六道将りくどうしょう』が一人。『畜生道』の鵺将軍ぬえしょうぐんだ。見知り置け!!』


 ひょうという虎鶫とらつぐみにも似た呼気と同時に少年の姿が掻き消える。

 それほどに少年の動きが速かったのだ。

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