俺が三年前にたまたま助けた美少女が、高校の後輩になって、家事全般、勉強、運動すべて非の打ち所がないのだが、ただ一点俺への愛情表現が異常すぎる件について。
第1話 出会いは突然にとよく言うが突然すぎる件について②
第1話 出会いは突然にとよく言うが突然すぎる件について②
「ほら先輩。早く支度をしないと遅れますよ」
目の前の女子が俺にぐいぐいと迫ってくる。グッと前に出る拍子に豊かな胸が少し揺れるのが目に入った。
特段、主導権をとられることが別に嫌なわけではないが、こうもわけのわからないことを言われるとさすがに何か言いたくなる。
なぜかわくわくしている女子は、どう考えても普通の女子高校生ではないだろう。
「・・・・・・
とりあえずこれが現実ではないことを願った。新しい詐欺かなにかだ。
否定の言葉か何かが来るかと思っていたが全く別種の解答が返ってきた。
「そんな、私を先輩のものにするのにお金なんていりませんよ」
笑顔でぶっ飛んだ発言をした。
こいつは何を言っているんだ。俺のもの? とりあえずこの状況を整理するための時間がほしい。
「えっと・・・・・・名前は?」
もしかしたら従兄弟が急激な変容を遂げたのかもしれないという変な期待を持った。
「あっそうですね。すみません、私の名前は
知らん・・・・・・考えようとしても目の前にいる未確認生物らしきものが気になってしょうがないようだ。とりあえず、これが現実であることは受け入れるしかないだろう。
「えっと、小豆沢さん、だっけ・・・・・・何しに来たの?」
頭をぐしゃぐしゃにしながら聞いた。
「言ったじゃないですか。一緒に学校に行くためですよ」
「もう、先輩ったら」などと言いながら上目遣いをかまされた。一般的に見ると一発KOになるほどかわいのだろうが俺にとっては宗教勧誘か何かとしか思えなかったので、KOされることはなかった。
俺はため息をついた。話しが平行線どころか同じ平面上にすらないように感じた。
周りを見ると近所の人がひそひそと何かを話しているのが見えた。
俺が同年代の人と、しかも女子と話しているのが珍しいのだろう。もしかしたら、ゴシップ感覚で見ている人もいるのかもしれない。正直追い払いたかったがおそらく不可能だ。
「・・・・・・はぁ、とにかく中に入れ」
中に入れるのは気が進まなかったがこのまま近所の注目を集める方が最悪だ。とりあえず中で話を聞く方がいいようだ。
「本当ですか!お邪魔します!」
嬉しそうな表情をして家の中に入っていった。
玄関で靴を脱いでうえにあがっていく。靴のかかとを下駄箱の方に向けているのを見ると多少は常識があるのがうかがえた。
俺は謎の女子の後ろ姿をぼーっと眺めていた。
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