珈琲

清見こうじ

1

あの人の、こだわり。


飲み物は珈琲、ホットで。


必ず。


真夏でも、アイスコーヒーは頼まない。


冷たいと、味がわからなくなるから。



飲み方は。


まず、ブラックで、一口。

美味しい珈琲なら、二口、三口。


3分の1まで飲む。


一口ですぐ砂糖を入れたなら、あまり美味しくなかったということ。


美味しい珈琲は3分の1まで飲んでから、砂糖をひとさじ入れる。


残り3分の1のところで、ミルクを投入。


一つでもいいけど、できればたっぷり、珈琲よりは少なめに。


ブラックで香りと苦味、砂糖を入れて深い味わいを、ミルクを入れてコクを楽しむ、ということ、らしい。


そうそう、忘れてはいけないのは、出されたら直ぐに一口目を飲むこと。


熱いうちに味わう、それが礼儀。



誰に対して?



「勿論、珈琲によ」



あの人は、当然のように、言っていた。





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