無味無香世界

@Tasteless_unscented

第1作 星が降る

甘い音がした。心をそらへ差し出されるような、心地よい風の揺らぎ。微睡みに柔い羽毛を羽織ったよう。

目が黒い中でたった一つ、淡い輝きを放つ青が映っていた。美しい、手を伸ばせば吸い込まれてしまうような。でもそれが本望なのだろう。それを全うすべきだろう。

命は儚いものだ。燃え尽きてしまったらそこまで。もう二度と取り戻すことは出来ない。

『本当にこれで良かったの?』

尋ねても答えは無い、応えは来ない。もしくは僕自身、もう満足をもっているから。

数多の星々が君のもとへ、僕も同じかもしれない。それでも悔いはない、迷いもない。

僕は待ち望んでいる、本当の僕の終演を。

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