第30話 ダンジョン探索の後始末
俺達は、この世界には無いこの地域の正確な地図作りの最中に、ひょんなことからダンジョンを見つけてそのダンジョンの探索を行っている。
とうとうダンジョンの1階部分の通路が終わって、次の階層に降りることが出来る階段のある場所まで来た。
どうやらここが、この階層の最奥部らしい。
階段の手前には御丁寧に部屋の扉がある。
ここで体力を回復しろという事か・・・?・・・まるでゲームだ!
有り難く使わしてもらうか、部屋の中には5メートル級のドルウダがいた。
真と協力してこいつを倒すと淡雪の様に消えて魔石を残した。
またもや部屋の真中に宝箱が出現した。
この宝箱フェイクかも知れない⁉おっかなびっくりこいつを開けると中に袋⁈ザルーダの爺さんが持っているような魔法の袋があった。
何とこの魔法の袋は容量が持ち主によって容量が変わるようだ。
魔法を使えないシンディは容量も0で見事に何も入らなかった。
魔力量が一番多かったのは何と俺だった。・・・ほとんど普通の日でもまる1日身体強化魔法をかけているので飛躍的に魔力量が増えたみたいだ!
ザルーダの爺さんが次でそれでも悔しがっていた。
真やアリアナも悔しがって二人で
「魔力量を増やすために私達も身体強化魔法を使うわよ。」
等と言っていた。
何はともあれ、魔力量の関係で魔法の袋は俺の物になった。
部屋で体力を回復させて階段を降りると、大きな扉があった。
扉には鍵穴が開いている。
それが最初の部屋で手に入れた丁度刃こぼれした銅の短剣をさせるほどの鍵穴だ。
迷うことなく鍵穴に銅の短剣を突き刺すと大きな扉が内側へと開いていく、俺達が中に入ると待ち構えていたのが体長10メートルを超える化け物様なドルウダだった。
アリアナとシンディは弓矢を射る。
アリアナは身体強化魔法を使っていたので良い機会だと思ったのだろう。
俺達は魔法で創った氷の槍を投げつける。
ドルウダが大口を開けて襲ってきた。
俺も真も身体強化魔法を最大限にしてお互いが愛刀の柄に手をかける。
俺は右側、真が左側の前脚を居合の抜き打ちで切り飛ばす。
俺と真は勢いを殺さずに真中の足を切った。
その途端さしものドルウダも
『ドーン』
というもの凄い地響きをあげて倒れた。
俺と真は今度は巨体のドルウダの背に飛び乗って、頭部に向かう。
俺達を振り落とそうとドルウダが体を大きく揺するが、ものともしないで頭部に向かう。
でかいドルウダが巨体に似会った大きな頭を俺達の方に振り向き大きな口を開ける。
二本のデカイナイフのような鋭い牙が剝き出しになった。
俺と真が狙うのはドルウダの爛々と光る大きな目だ!
俺と真は腰だめにして爛々と光る大きな目に愛刀をぶち込む。
鍔近くまで差し込まれて切先はドルウダの脳を破壊して脳幹にまで達した。
巨体のドルウダが淡雪の様に消えていきバスケットボール程の大きさの魔石が残った。
その魔石には小さなドルウダが食らいついて亡くなっていた。
このダンジョンが誕生した際に迷い込んだ小さなドルウダがダンジョンの心臓の魔石を噛んだことによってドルウダのダンジョンが誕生したらしい。
ダンジョンはこのようなことが無ければダンジョン主は龍種となり、色々な種類の魔獣が闊歩するダンジョンになるそうだ。
龍種が存在するダンジョンの方が稀で、魔獣が巣穴として利用することが多いために巣穴を利用した魔獣のダンジョンになるそうだ。
ダンジョンの中に紛れ込んだ魔獣がダンジョン内の魔獣と子作りしてスタンピード(魔獣暴走)が起こるが、神獣クラスの魔獣が産まれてもスタンピード(魔獣暴走)が起きるという。
ダンジョンの核となるバスケットボールほどの大きさの魔石は持ち帰ることにした。
魔石を持ち上げると食らいついていた小さなドルウダは砂の様に崩れていった。
また魔石を持ち上げると部屋の中央に宝箱が出現した。
その宝箱を開けると眩しい程の光が溢れて、慌てて目を閉じて目を開けるとダンジョンの外の岩場に立っていた。
もう一度岩場の中に潜ると岩場の通路だけでダンジョンはなかった。
ダンジョン主を倒した恩恵か宝箱を開けた恩恵か俺と真はステータス画面を手に入れたようだ。
他の一緒にダンジョンを探索した人にはこのような恩恵は無かった。
魔法の袋とダンジョン主を倒したことからステータス画面とダンジョンの核である魔石を手に入れた。
ダンジョンの核である魔石は砦を守る結界石(地竜の魔石)を置いてある社のなかで、結界石の横に並べて置くことにした。
地竜の魔石も大人がやっと抱えるほど大きかったが、ダンジョンの核の魔石もバスケットボール程の大きさで並べると壮観だ。
そのおかげで地竜の魔石を置いてある社の拡張作業が行われた。
ダンジョンの魔石が地竜の魔石を食ったのか?その逆か分からないが何時の間にか二つの魔石が合体して大人が抱えられないほどの大きさの魔石になった。・・・う~ん、丁度エルフの隠れ里の結界魔石と同じ位の大きさになったか。
結界魔石が大きくなったおかげで、砦のある大きな岩場全体を越えてダンジョンを見つけた湖付近まで結界魔法がかかった。
試しにドルウダの魔石が大量にあるので、その魔石の側に置いても合体して大きくなることは無かった。・・・何か法則性があるのだろう?
俺達がダンジョン探索にかかった日数は三日三晩程だったが、俺達が帰らないというので砦内は大騒ぎで、ソルジャーのおっさんは俺達を捜そうと部隊まで編制している所だった。
50人もいない村で部隊と言ってもドーンとソドムの兄弟を含んだ5人程だ。
ダンジョンは無くなったが、ダンジョンがあった場所は砦からほど近く湖があったのでこの地を中心にその部隊を使って開拓開墾が行うことにした。
持っていた武器が鋤や鍬になったのだが、その道具が石器時代の代物だ、何とかしなければならない。
ダンジョンは無くなったとはいえ、その場所に数年後にはダンジョンが再生する可能性が高いのでダンジョンの岩場の横にその部隊を中心に開拓村が造られてダンジョンの監視も行われることになった。
本来ダンジョンは国が管理する国の財産で、通常は軍隊の訓練場に使われているのだが、一部のダンジョンは国の下部組織のギルドに委託して一般に開放(入場料は取るが)しているところもある。
ダンジョン主を倒したときにもっらステータス画面は割と便利な機能だが、もう一つ俺と真には相手の名前とレベルそして得意なスキルが見ることが出来るようになった。
相手の頭の上に吹き出しの様なものが見えて名前等が表示されるのだ。
それも男女で色分けされている。
真もそうだがアリアナや天使族の双子の頭には真赤な色の吹き出しに名前が表示されている。・・・う~ん⁈赤ければ赤い程俺に好意があるようだ。
ザルーダの爺さんやソルジャーのおっさんは深い青色だ。
全体的に女は赤色系統で男は青色系統で見ることが出来る。
今後の表示が楽しみだ。
ダンジョン探索やそれに伴う開墾場所の発見など砦の周辺の整備に時間をかけてしまったが、俺としてはナカイ村の樵のアンドレを探す旅を忘れたわけではない。
ザルーダの爺さんがアンドレを快く思っていない事から、探しに行く時間を引き延ばす為か現在の砦や社の拡張作業、そして今後の食糧事情を勘案して開墾作業を中心に指導していることだ。
それに新たに仲間になった少年盗賊団の手足の折れた子供達の治療を行っているのだ。
魔法の世界で魔法を使えば何でもありだが、少年達の古い骨折で仮関節ができてしまったり、骨折の影響で手足の長さが違ってしまったものを、いきなり魔法で治せないのだ。
それは人体の事だから徐々に治さないといけないからだ。
それに手足を切られてこれほど時間が経過してしまうと治癒魔法や再生魔法でも治せないので子供達の手足のかわりに義足や義手を作ってあげた。
木でできた義足や義手は機能的でない、何とか義足や義手に金属のバネを利用して歩きやすくしたり、物をつかめるようにしたいものだ。
エルフ族は木の精霊から進化したという、それで木魔法や水魔法が得意で樹木の加工は得意だが、金属加工は苦手だそうだ。・・・苦手と言うか鍛冶屋が全く居ないのだ。
その反面、土の精霊から進化したドワーフ族は土魔法や火魔法が得意なので金属加工が得意で鍛冶師が多いというのだ。
エルフ族とドワーフ族は使える魔法の火と水の関係で仲が良くない。
この世界では長身の部類に入るエルフ族と小柄で小太りのドワーフ族では異種族間の対立・・・う~ん前世で言えば人種差別・・・を生んでいるのだ。
エルフの隠れ里から砦を通って、俺と真が魔法を使う為の器官を発現させる儀式を行った火山を回り込むようにして行った先に何人かのドワーフが鍛冶職人村をつくって住んでいるという。
気の毒な子供達の義手や義足のバネや農機具の性能の向上や馬車の緩衝装置の開発のこともある。
樵のアンドレより先にドワーフ族の元に行く事にした。
この砦からだとドワーフ族の里までは馬で1週間くらいの距離・・・およそ馬で1日50キロ程だから350キロ程の距離・・・だそうだ。
道路整備がなされていないので実質は3週間も4週間もかかるのだ、それに最後のほんの10キロ程の距離が大変だと聞いている。
そこは火山性ガス、特に有毒性のある塩化水素や中毒性のある一酸化炭素等が噴出しており、エルフ族の結界魔法のように自然の結界魔法で守られている。
この火山性ガスのおかげでドワーフ族の里にある製鉄所や多数の鍛冶屋から立ち昇る炎の煙が見えにくい場所で道案内が必要だ。
あまり仲が良くないとはいえドワーフ族の里についてはエルフの隠れ里に住む住民が良く知っている。それでザルーダの爺さんがドワーフ族の里まで道案内をすると言うことになった。
それで今回は真とザルーダの爺さん、その弟子のアリアナの他は、火山性ガスから身を守るため風魔法が得意な天使族のアンソワーとアンドリューが加わっている。
それに護衛だと開墾作業が一段落したソルジャーのおっさんとドーンとソドムの双子までもが加わっているのだ。
彼等は本当はドワーフ族の里で鉄製の武器が欲しいからついて来たのだ。
馬車にドワーフ族への土産の食料や木製品を積んで出発だ。
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