まさか僕が本当に君と結婚できるとは

鼠野扇

人生、何が起こるかわからない

 僕は昔から、男女の交際というものに、あまり興味が湧かなかった。

 友達の手前、皆に話を合わせる為に『彼女欲しい』といった事はあるかもしれない。

 でも、実際女子と話すより、同性と話していた方が楽しいし。

 一緒にいると気まずいし。

 なんか……いい匂いして緊張するし。


 だから、僕は誰が何と言おうと、きっと『結婚はしないんだろうな』と思っていた。


 なんなら、仲の良い男友達と、一生結婚しないで、魔法使いになる。同盟を作ったぐらいだ。ちなみに言い出しっぺは、先にネタバレしておくと、俺達を裏切って真っ先に結婚しやがったけども。


 裏切り者が!

 アイツは何時か痛い目を見てもらおう。


 …………っごほん。

 話を戻そう。


 そんな僕だけど、なんやかんやで彼女が出来た。

 え? 何がどうしてそうなったのかって?

 大丈夫。後で説明するよ。


 えーと。

 そう、なんやかんや彼女が出来たんだ。

 専門学校に通うようになってから。

それから、お付き合いを始めて、うーん、何年目だっけ?

 

 忘れちゃった……って言うと、きっと怒られちゃうから、決して言えないけど。

 うん。僕達は結婚した。


 結婚しない同盟を裏切って、ね。

 同盟メンバーからは第二の裏切り者と、罵られつつも、祝福してもらって。

 盛大な結婚式は開催できなかったけど。ちゃんと指輪を買って、互いに付け合って。


 誓いのキスをして。


 僕達は今日という日に、籍を入れた。


 こうして思い返してみると、なんだが不思議な気分になる。

 親にも、友達にも、『お前は結婚できない(できなくなる)』と言われ。


 そんな僕が、世間的に見てもそれなりに早くに結婚をしてしまって。

 ねぇねぇ。今どんな気持ち?

 煽りを入れたくなるくらい、ハイになってしまうくらいの気持ちになってしまうくらい。


 今僕はとても幸せだ。


 さて、ここまで話をしてきたけど、これを聞いてくれている人は、これだけじゃ良く分からないよね?


 だから話そうと思うよ。

 僕が彼女と出会った日から。


 僕が彼女とお付き合いをして。


 僕が彼女と結婚するまでの日々を。


 これを読んで、皆も参考にしてほしい。

 僕みたいな人間でも、人並みに異性と付き合って、結婚が出来るんだぞってとこを。


 え? また調子に乗っているって?

 わかっているよ。でも今日くらいはいいだろう?

 

 今日はこれからずっと記憶に刻み込まれていく、幸せで、大切な、記念日になるんだから。

 指輪の内側にも刻み込んだ、大切な記念日だ。


 そんな日くらい、調子に乗ったとしても、神様きっと許してくれるよ。

 それじゃ、始めようか。

 そんなに長くなる予定じゃないから、しばしの間ご静粛にお願いするよ。

 

 ――――あれは、高校の入学式……。


 には出会ってないから、それからしばらくした後の事――――

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