第118話 ルール追加だって?
【緊急ちつてと会議・昼休みの部】
「さぁ、いよいよ明日ですね、伊緒奈さん!?」
「そうね、太鳳ちゃん」
伊緒奈からの今朝のラインの内容が気になったけど、ここまで聞くタイミングを逃してしまったな。
今、聞いてみようかなぁ……?
「あ、あのさ、伊緒奈……今朝のラインなんだけどさ……」
「颯君、ごめんねぇ? その話は今度にしよっか?」
「え? あ、ああ……分かったよ……」
今は教えてくれないのかよ? でも、まぁ今は『学年人気投票』についての対策会議だから二年生の乃恵瑠さんの事は関係無いもんなぁ……
「しかし、驚いたわね? まさか、伊達さんが伊緒奈ちゃんの家のメイドをやっているだなんてさぁ……」
「そうよね、知由ちゃん……私も驚いたわ……伊達さんは『学年人気投票』に向けて必死になって票集めに動いていると思っていたから……それともそんなに努力しなくても票は入ると思っていて心に余裕があるから個人的な行動をとっているのかしら?」
うーん……榊原さんの言っている通りかなとも思うけども……
ただ、伊緒奈は勿論のこと、長曾我部さんや島津さんも学年で凄い人気があるみたいだしなぁ……本当に余裕なんてあるのだろうか?
「それにしてもさ、伊達さんのメイド姿って可愛いよな!? 俺、驚いたよ!!」
「それじゃぁ、直人は伊達さんの応援に周ればいいじゃん!! 別に直人一人いなくても全然、大丈夫だしさ!!」
「バ、バカな事を言うなよ、太鳳!! 俺は伊達さんのメイド姿が可愛いって言っただけで、伊緒奈の応援をしないなんて言ってないだろ!?」
「ハハハ、別に照れなくてもいいじゃん?」
「て、照れてねぇよ!!」
まぁ、直人が魔冬のメイド姿を可愛いと思うのはよく分かる。
俺も同感だからな。
でも、ここでは絶対にそんな事は口が裂けても言えないけども……
「それで、各クラスの状況はどんな感じなのかしら? 八雲ちゃんはどうかな?」
「うーん、そうですねぇ……やっぱり、うちのクラスには長曾我部さんがいますからねぇ……見た目はギャルで口も悪いですが、面倒見が良いので……それに意外と勉強もできますからねぇ……二組内での人気は絶大です。ただ、他のクラスで人気があるのかどうかは分かり兼ねますが……」
そういえば、そうだったな。長曾我部さんはマジで頭も良いんだよな?
期末テストでは島津さんと同率で学年二位だったからな。
「やはり二組から票を取るのは難しそうねぇ? それではこのメンバーの中で唯一、期末テストでトップテンに入れなかった直人君のクラスはどうかしら?」
「い、伊緒奈、何だ今の言い方は!? せっかくあのショックな出来事を忘れかけていたのによぉ……思い出してしまったじゃないか!!」
「フフフ……ゴメンね、直人? 冗談よ、冗談……そんな事よりも三組はどうなの?」
「そんな事よりもって……ま、いいか……うーん、そうだなぁ……やっぱ、うちのクラスも八雲のところと同じで島津さんがいるからなぁ……彼女はマジで女子ウケが良いし、男の俺から見てもカッコイイもんなぁ……」
「あ、あのぉぉ……会議中、申し訳ないけど少しだけいいかな?」
「あら、前田君、どうしたの?」
俊哉のやつ、何か神妙な顔をしているけど、どうしたんだ?
「俊哉、顔色が悪いけど大丈夫か?」
「あ、ああ……やっぱ顔に出ているか? 俺としたことが情けないよな……」
「それで前田君、私達に何か用事なの?」
「そ、そうなんだよ太鳳ちゃん!! 俺は陽菜ちゃんの応援部隊の一人だけど、最終的には伊緒奈ちゃんに勝ってもらいたいという思いがあるから今のうちに一つだけ大事な情報を言っておこうと思ってさ……」
大事な情報……?
どんな情報なんだろう?
「じ、実はさ……」
そして数分後……
「 「 「えーーーっ!!??」 」 」
「マ、マジか、俊哉!? 羽柴さんはそこまで策を講じているのかよ!?」
「そうなんだよ、直人……さすがの俺でも少し引いてしまったよ……」
「伊緒奈、どうする? 『学年人気投票』には影響はないかもしれないけど、先の『生徒会長選挙』の時にはかなり影響があるんじゃないのか!?」
「そうよね、直人の言う通りだわ……まさか『中等部』で影響力のある子を使って『高等部』にいる兄弟達に一票入れて貰おうとする作戦だなんて……少し卑怯な気もするけど、良く考えた作戦だわ……」
「そうね、知由ちゃん……さすが羽柴副会長っていう感じだわ。でも今は『学年人気投票』の事だけを考えればいいと思うの。先の事は夏休みに入ってからでも遅くはないわ」
うーん、恐るべし羽柴陽菜……
あんな可愛い顔をしているクセに、やっている作戦は他の人達よりもはるかに突き抜けていて、えげつないよなぁ?
「伊緒奈さんのおっしゃる通り、まずは『学年人気投票』で勝つのが先決よ!! それに伊緒奈さんが生徒会長候補になれば、今回の投票で敗れた人達の数名が今度は伊緒奈さんの味方になる可能性だってあるんだしね!!」
「え? そ、そうなのか、太鳳? そんなルールあったか?」
「えーっ!? 颯さん、知らなかったかったのですか? だって『颯さんと付き合える条件』は生徒会長になるか、その新会長を応援した人ですから、明日の『学年人気投票』で負けた人も次に応援する生徒会長候補によってチャンスが出てくるじゃないですか?」
「そうそう……仮に伊緒奈さんが人気投票で負けてしまったら全てお終いになるでしょ? だから保険としてそういうルールもないと困るじゃない。でも伊緒奈さんが勝った場合は少し面倒な事が起こるかもしれないけど……」
「そっか、颯君には伝えていなかったわね? 実はそういう事なの。前に私を含めた颯君に告白したメンバーで話し合いをしたのよ。で、この案には皆さん、賛成してくれたわ。でもね、応援を拒否する事もできるんだよ。ただ、応援者のグループの票が欲しい人は応援を認める事もできる……まぁ、最後まで色々な駆け引きが続くということね……」
「そ、そうだったのか……」
「まぁ、颯さん、そんなに心配する事は無いですよ!! だって最後に付き合う相手を決めるのは颯さんなんですから。颯さんが伊緒奈を選べばそれでこの戦いは終了なんですからね!!」
「あ、ああ……そうだな、直人……」
本当にそれで終わるのだろうか……?
―――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
『学年人気投票』が終わってもまだまだ色々な駆け引きが続く事を聞かされた颯は戸惑いを隠せない。
果たして生徒会長、颯の彼女になるのは誰なのか!?
次回、遂に『学年人気投票』開催です!!
誰が生徒会長候補として生き残るのか?
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
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