第87話 お色気ハーフ美少女

 土曜日……


 またしてもこの日がやって来た。


 そうである。今日は午前中は上杉さんとデート、そして夕方からは伊達さんとデートをすることになっている。


 まずは上杉さんとは『仙石水族館』に行く予定だ。


 あっ、ちなみに俺達が住んで居る町はいまさらだけど『仙石市』といって結構、大きな町なんだ。


 ただ仙石学園は仙石市の一番北にあって俺の家は一番南ということで距離があるから毎日電車で通学しているんだ。


 まぁ、どうでもいい説明だけどな。



 話しを戻すが、俺と上杉さんが水族館デートをするにあたり、太鳳がめちゃくちゃ悔しがっていたけど……


 余程、太鳳は水族館に行きたかったんだなぁ……


 ん? でも今日も伊緒奈達とどこかに隠れて俺達を監視しているはずだから、一応太鳳も水族館に来ているはずだけど……あいつは何を悔しがっていたんだろうか?



「おっ、おはよう、は、颯君!!」


「あ、お……おはようございます……上杉さ、いや……ケイトさん……」


「ウフ……な、なんか颯君にケイトって呼ばれるのって恥ずかしいわね?」


「えっ? そ、それじゃぁ、上杉さんと呼びましょうか?」


「だ、ダメよ!! それはダメ!! 恥ずかしいのは本当だけど、それ以上にとても嬉しいから!! このまま私の事はケイトって呼んでちょうだい!!」


「は、はい……分かりました。それではこのままケイトさんと呼ばせてもらいます」


 な、何なんだ!?


 この可愛いらしい中にも大人の色気を感じさせるハーフ美少女は!?


 白い頬が真っ赤になっているところはめちゃくちゃ可愛らしいけど、服装が『エロカッコイイ』じゃないか!!


 白のTシャツの上から黒のロングカーディガン、そして何と言っても黒のショートパンツをはいているだんて!!


 めちゃくちゃ綺麗で長い足だなぁ。

 本物のモデルみたいだぞ。


 さすがはハーフ美少女だなぁ……


「は、颯君!? そんなに私の事を舐める様に見ないでくれないかな? も、もしかして今日の私の服装が変なの?」


「なっ、舐める様にって……いえ全然、変じゃないです。その逆で、とてもエロ……いや、カッコイイなぁと思いまして……」


 ヤバい、ヤバい……


 『陰キャ』の俺としたことが……最近、『普通の男子』の思考になってきているところが恐ろしい……しっかりしなければ……


 ん? 俺は何をしっかりしないといけないんだ?


「カッコイイかぁ……少しはエロイって思ってくれても……いえ、は、颯君? そろそろ館内に入りましょう?」


「えっ? は、はい……そうですね……」




 【伊緒奈サイド】


「えー、こちら伊緒奈です。『イルカショー担当』の華ちゃん聞こえるかな? どうぞ~」


「こちら華子、よく聞こえます、どうぞ~」


「それじゃぁ、『海獣館担当』の直人君聞こえるかな? どうぞ~」


「ああ、こちら直人、よく聞こえるけどさぁ……何で今日は俺達無線でやり取りをするんだ? 別にスマホでもいいじゃねぇか? どうぞ~」


「理由は簡単よ、直人君。無線でやり取りする方がカッコイイからに決まっているじゃない。どうぞ~」


「……はぁ、了解……どうぞ~」


「それじゃぁ、『ペンギン館』で待機している八雲ちゃんはどうかな? っていうか迷子にならずにちゃんとたどり着いているのかな? どうぞ~」


「だ、大丈夫です伊緒奈さん……水族館の中には順路を示す矢印が貼り出されていますので、方向音痴の私でもさすがにたどり着けました……どうぞ~」


「フフフ……それなら良かったわ。まず颯君達は最初に八雲ちゃんのところに来るはずだから、もし上杉さんが何か変な事をやりそうだったら『妨害』をよろしくね? あと、『カップル役』の太鳳ちゃんと知由ちゃんもよろしくね? どうぞ~」


「わかりました、伊緒奈さん」


「太鳳ちゃん? 会話の最後に必ず『どうぞ~』って言ってちょうだいね? どうぞ~」


「えっ? そうなんですか? す、すみません、伊緒奈さん……どうぞ~?」


「伊緒奈ちゃん? 何で最後に『どうぞ~』って言わなきゃいけないのよぉ? 何か恥ずかしいんだけど~……どうぞ~」


「知由ちゃんだったら分かってくれると思ったんだけどなぁ……無線で会話した後に『どうぞ~』って言った方がカッコイイじゃなーい? どうぞ~」


「 「 「 「 「・・・・・・」 」 」 」 」


「あれ? 何で返事をくれないのかしら? どうぞ~」




 【颯&ケイトサイド】



「うわぁあ、見て見て颯君!? あのお魚、とても美味しそ……いえ、とても可愛いわね!?」


「そ、そうですねぇ……」


 今、美味しそうって言わなかったか?


「ん? どうしたの、颯君?」


「い、いえ、何でもありません……それにしてもこの『仙石水族館』って思っていたより規模が大きい水族館なんですね?」


「そうなのよぉ、颯君は知らなかったんだね? ここの水族館は全国でも五本の指に入るくらいに大きな水族館なのよ」


「へぇ、そうなんですかぁ……」


「さぁ、次は『ペンギン館』に行きましょうか!?」


「いいですね。俺、実は結構ペンギン好きなんですよ……」


「そうなの!? 私も大好きよ!! それじゃぁ急いで行きましょうか? で、できれば……ここからは颯君と手、手、手を繋いで歩きたいのだけど……いいかな?」


「えっ?」


 ケイトさん、あなたもですか……


 そんな大きな瞳を潤ませながら上目遣いで言われたら嫌だとは言えないでしょうが……





 【カノン&カイトサイド】



「カノンちゃん? 何で俺達が姉貴のデートの監視をしなくちゃいけないんだよ!?」


「カイト君? あなたはお姉ちゃんとあんな陰キャな子とデートだなんて心配じゃないの?」


「し、心配は心配だけどさぁ……でも俺達が来ているのがバレたらそれはそれでマズくないか?」



「うわぁあ、あの美男美女を見て? 二人共ハーフかな?」

「ほんと、お似合いのカップルよね?」

「さっき、モデルみたいなハーフ美女がいたけど、その子はめちゃくちゃ陰気クサい男と手を繋いで歩いていたよな?」

「ほんと、アレは笑っちゃったわね?」



「絶対にケイト先輩と竹中君の事だわ!! カイト君、急ぐわよ!?」


「はぁ……面倒くせぇなぁ……」





―――――――――――――――――――

お読みいただきありがとうございました。


遂に颯とケイトの水族館デートが始まりました。

しかし、颯達の周囲には伊緒奈一派や上杉一派も入り乱れている。

果たして颯達のデートは無事に終えることができるのか?


どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆

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