第73話 毛利茂香の異変?

「メ、メガネを外すんですか……?」


「ええ、そうよ。早く外してちょうだい?」


 何なんだ、この人は?


 いきなりメガネを外せって失礼過ぎないか?


「うわ~っ!! 私も竹中君がメガネを外しているところを見たいわ~!! 前にお願いした時は断られちゃったしさ~」


 も、毛利さんまで……


「あら? 私も興味はあるわ!! ねっ、八雲?」


「う、うん……そうね……私も竹中君がメガネを外した顔を見た事が無いし……」


 なんだよ? 酒井さんや榊原さんまで……


「よしっ!! 私も遠くからしか見た事が無いし、今回は近くでじっくり見てみようっと!! あっ、伊緒奈さんは見なくていいんですか?」


「えっ? ええ、私は仙石集会の時に近くで見た事があるし、颯君はあまりジロジロと顔を見られるのは嫌だと思うから私は遠慮しておくわ……」


 ん? 今日はやけに徳川は話が分かる女性って感じだな?


 逆に怖いっていう気もしなくもないけど……


 いずれにしてもここまで来たらメガネを外さないと大事な昼休みが終わってしまうしな……覚悟を決めてメガネを外すとしようか……


 でも、お願いだから酒井さんと榊原さんの二人にはせめて『普通の顔』って言ってもらいたいよなぁ……じゃないと、しばらく俺は立ち直れないかもしれないぞ。



「そ、それじゃぁメガネを外しますけど……でも直ぐに戻しますので……」


 俺はそう言うとゆっくりメガネを外した。


 そして外した途端に片倉さん達が俺の顔に近づきマジマジと見ている。


 元々、俺は視力が悪いから彼女達の顔ははっきりとは見えないが数人の女子達の顔が俺の顔の近くにあるのは分かるし、まず俺の周りの空気の香りが違う。


 数種類のとても良い香りが漂っていて、なんだか気が遠くなりそうだ。


 まず最初に感想を言ったのは片倉さんだった。


「うーん……竹中君には申し訳ないけど……普通の顔よねぇ……まぁ、想像していた顔よりも良いとは思うけど……でも魔冬の好きな顔かどうかといえば少し違う様な気がするんだけどなぁ……」


 ふぅぅ、よ、良かったぁ……


 片倉さんの今の感想は俺の中では『誉め言葉』に近いものがあるぞ。


「そうですね。片倉さんの言い通りですね。普通の顔です!! まぁ、私からすれば『中の下』って感じかな。八雲はどう思う?」


「思っていたよりは私も普通だと思うけど……『中の中』かな……」


「えーっ!? 二人共、目が悪いんじゃないの!? 私は『中の上』だと思うわ!!」


 お、お前等、せっかく片倉さんが普通の顔って言ってくれているのに、そこから細かく分類なんてするんじゃねぇよ!!


 い、いずれにしても俺が思っていたよりは評価は上でホッとしたけど……


「で、毛利先輩はどう思われますか?」


「・・・・・・」


「あれ? 毛利先輩? 聞いていますか?」


「えっ!? ああ、私?」


「そうですよ。毛利先輩は竹中君のメガネを外した顔を見てどう思われましたか? 率直なご意見を聞かせてください」


 いや、別に率直な意見なんて聞かなくてもいいだろ!!


「えっ……え~っ、私の意見が聞きたいの~?」


「そりゃぁ、そうですよ。毛利先輩は学園一『恋愛の達人』と呼ばれている方ですから」


 どうもあの『ロリっ子』が学園一の『恋愛の達人』っていうのは違和感があるよな。


「そ、そうねぇ……わ、私の意見は~」


 うわぁああ、毛利さんは俺の事を何て言うんだろうか……


「私は特に意見は無いわよ~っ!!」


「 「 「えっ!!??」 」 」


「そ、それよりも小町ちゃんが竹中君とライン交換をなかなかしないのなら先に私としてくれないかしら~? 私、用事を思い出したから直ぐに戻らないといけないし~……はい、竹中君? スマホを出してちょうだい?」


「えっ? あっ、はい……それでは……」


 ピロンッ


「はい、ライン交換完了~っ!! って事で私は教室に戻るわね~? それでは皆さん、ご機嫌用~!!」


 ガラッ…ガラガラッ ピシャンッ


 ……えっ?


 も、毛利さんが何かよく分からないけど、めちゃくちゃ慌てて教室を出て行ったぞ?


 あんな慌てた感じの毛利さんは見た事が無いな。


一体、どうしたんだろう?


「はぁ……堕ちたわね……」


「え? 伊緒奈さん、何か言われましたか?」


「えっ? な、何でも無いわよ。ただの独り言だから……」



「あらぁぁ……毛利先輩の貴重なご意見を聞きそびれちゃったわぁ……まっいっか。いつでも聞けるしね。それよりも竹中君とライン交換していないのは私だけになっちゃったわね? それはそれで何か嫌だからそろそろ交換しましょうか?」


「あ、はい……」


 ピロンッ


「はい、これで完了ね? それじゃぁ私も教室に戻るわ。あっ、竹中君? これだけは言っておくわね? 私からあなたに個人ラインなんて送る事は絶対に無いから!!」


 別にそんな事、言っておかなくても……


「それでは戻るわ」


 ガラッ…ガラガラッ ピシャンッ


 ふぅぅ……長かったライン交換がやっと終わったぞーっ!!


 少しくらいは『図書室』で勉強する時間は残っているかな?


 ピコンッ


 ん? これまたラインが来たぞ。今度は誰からなんだ!?


 ん? だ、伊達さんからグループの誘いみたいだな。


 どれどれ、グループ名は……


 『独眼竜』……


 なんとなくそうかなって思った俺が怖いぜ!!


 しかし、ここの学園の生徒はカッコいい、グループ名をつけるのが流行りなのかよ!?





―――――――――――――――――――

お読みいただきありがとうございました。


ようやくライン交換もおわりに近づいた矢先、片倉からメガネを外す様に言われ困惑していた颯だが早く終わらせたい為に渋々メガネを外す。


メガネを外した颯の事を各々、好き勝手な意見を言っているが何故か毛利茂香だけが意見を言わず、ライン交換を先に済ませてその場を立ち去った……


果たして毛利茂香に何が起こったのか?

って皆様、よーくお分かりでしょうが(笑)


ということで次回もお楽しみに(^_-)-☆

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