第30話 内紛勃発?
俺は今、山本カンナさんと一緒に学園の中庭に向かって歩いている。
この山本さんは身長は羽柴副会長と同じくらいに低いけど姿勢がとても良い。
歩いている姿は堂々としていて廊下にいる下級生達は皆、山本さんに頭を下げている。
山本さんの容姿もさすが『クラス副委員長』になるだけのことはあり、美人というよりも可愛い系だ。髪は黒髪のショートカット、目鼻立ちも整っていて特徴をあげると顔にそばかすがあるってとこかな……
そんな山本さんと俺が歩いている後ろから俺達に気付かれない様に徳川達がつけて来ている。まぁ、めちゃくちゃバレバレだけどな。
絶対、奴等は俺が武田さんに何か言われて困っている顔を見たいからついて来ているに違いない。
そういうことなので俺としてみれば、中庭に行くのも徳川達につけて来られるのもどちらもめちゃくちゃ嫌な状況だ。
しかし、武田さんは俺と何を話がしたいんだ?
今朝のことは俺にとってはもうどうでもいいことだしな……
「あ、あのぉぉ……」
「ん? 竹中君、何かしら?」
「た、武田さんは俺に何の話があるのでしょうか……?」
俺は山本さんに質問してみたが彼女はニコッと微笑みながら、
「さぁ、私には分からないわ。というか静香の気持ちが理解できないの?」
へっ? 理解できない? それはどういう意味だ?
でも、山本さんがそう言っているってことはやはり彼女は武田さんが俺を呼ぶ理由を知りながら知らないフリをしているということじゃないのか?
「ほ、本当は知ってるんですよね?」
「さぁ、どうかしら……」
山本さんはそう言うと前を向き、少し早歩きになった。
「早く行きましょ? 静香は約束した時間に遅れるのが一番嫌いな子なのよ」
「えっ? な、何時に約束しているんですか?」
「フフフ、もうとっくに約束の時間は過ぎているわ」
えーっ!? わ、笑い事では無いんじゃないですか!?
そして俺達はようやく中庭に到着した。
中庭には五人の女子がいたが何やら言い争いをしている様な気がする。
「あらら、やっぱりあの子達も納得いかないから静かに文句を言っているわ」
「えっ? ど、どういうことですか?」
「フフフ、行けば分かるわよ……」
よく見ると武田さんを挟んで何か文句を言っているのは今朝、校門前に武田さんと一緒にいた取り巻きの二人では無い方の二人みたいだ。
「しっ、静香!! 考え直した方がいいわよ!!」
「そ、そうよ!!
「
武田さん達は何を揉めているんだろう?
それにそんな中に俺が近づいてもいいんだろうか?
「静香、遅れてゴメンなさいね? 竹中君がグズグズしちゃって少し遅れちゃったわ」
えーっ!? 山本さん、何でそんな嘘を平気で言えるんだよ!?
こ、この人は見た目と違って『クズ』なのか!?
それにさっき武田さんは約束に遅れるのが一番嫌いだって言っていたよな?
ってことは来た早々、俺は武田さんに怒られるのかよ?
さ、最悪だぁぁ……
「た、竹中君……来てくれて有難う……それに遅れたといっても竹中君と時間の約束なんてしていないんだから全然気にしなくていいよ。逆に約束の時間に連れて来れなかったカンナに問題があるわ!」
「えーっ、わ、私が悪いの~!?」
え? なんか思っていた態度と違うぞ……
「しっ、静香……あなたがカンナを責めるなんて今まで無かったのに、一体どうしたのよ!?」
「そうよね。静香、ほんとどうしたのよ?」
この野々花という人と麻美子という人がさっきから武田さんに何か文句を言っているようだけど、今朝、校門にいた二人はずっと黙ったままだな……
「ちょっと、あんた達!? 何でさっきから黙ったままで静香を説得してくれないの!?」
「そうよ、
校門前に武田さんと一緒にいた取り巻き二人は真優と真樹って言うんだな……
「私達は今朝、静香と一緒にいたからさぁ……ねっ、真樹?」
「うん、そうよね。だから少しだけ静香の気持ちが分かるっていうか……ねっ、真優?」
しかし、この人達は何で揉めているんだろうか?
そろそろ聞いてみた方がいいかもな……
「あ、あのぉぉ……」
「何よ!?」
うわっ、こ、怖いこの人……
「野々花、そんな怖い顔をしていたら美人が台無しよ」
「静香、私の顔なんてどうでもいいのよ。私はこの『瓶底メガネ陰キャオタク』のこの男が気に入らないだけなんだから!!」
えーーーっ!?
お、俺は今日初めて会った人にもう嫌われているのか?
や、やっぱり『陰キャ』ってそういうものなのかぁ……悲し過ぎる……
「た、竹中君!! 違うのよ!! 野々花の言う事は気にしないで!? この子は私が竹中君のことが好きになってしまったことに腹を立てているの!!」
なーんだ、そういうことですかぁ……
って、な……な……何だって――――――っ!!??
――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
山本カンナに連れられて中庭に行くと、武田達が何やら揉めていた。
その中でも野々花と麻美子という女子二人が静香に対して何か納得していない様だ。
しかし、直ぐに静香の口から謎が判明する。
静香が颯のことが好きになってしまったらしい……
それを聞いた颯は一体どうするのか?
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
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