第16話 女の戦い?
と、徳川!? お前、いきなり意見を言うのか!?
めちゃくちゃ根性あるよな!?
「えーっと、君は一年一組の委員長、徳川さんですね? はい、どうぞ意見をおっしゃってください」
ジ――――――――――――――――――ッ…………
ほら見て見ろ、徳川!!
織田会長も羽柴副会長も、他の委員達も全員、お前を注目しているぞ!!
俺だったら、こんな大勢の視線には耐えられねぇよ。
「それでは失礼致します。私は新たな『投票案』を提案するというよりも現在の『人気投票』に新しいルールを追加してはどうかと思いまして……」
新しいルールの追加?
「へぇ、新しいルールの追加かぁ……それで、どんなルールを追加して欲しいのかな?」
おっ、織田会長が徳川の案に興味を持っているぞ。
「はい、先日行われましたクラス内での『投票結果』によって私達は『クラス委員長』に選出されましたが、今まで三期連続で『クラス委員長』になられた方は何か特典などはあったのでしょうか?」
「いえ、特典みたいなものは無かったわね」
「そうですよね? 私も先輩達から聞いていますので存じていましたが、それではあまりにも不公平だと思うのです」
「不公平? それはどういう意味かなぁ?」
わっ、今の徳川の発言で羽柴副会長も身を乗り出して聞いてきたぞ。
それも大きな胸を机の上に乗せながら……
この部屋にいる男子達が一斉に羽柴副会長の方を見ているぞ。
それに司会の後醍さんまで……
まぁ、俺もだがな。いくら『陰キャオタク』とはいえ、それとこれとは話が別なんだよ!! って、俺は誰に言い訳しているんだ?
「不公平というのは『クラス委員長』と『生徒会役員』の間での不公平です」
「それは、どういった不公平なのかなぁ……? もう少し分かる様に説明してくれないかしらぁ?」
うわっ、今の羽柴さんの言い方は少しトゲがある様に感じたのは俺だけか?
「はい、羽柴副会長に分かりやすくご説明させていただきます」
うわっ、今度は徳川が羽柴副会長にトゲのある返し方をした様な気が……
「フフフ、お願いするわぁ……」
羽柴副会長、今は笑顔だけど腹の中は『年下のくせに生意気な』とか思っているんじゃないのか!?
じょ、女子怖ええええ……
「三期連続『クラス委員長』をするということは一年で三回もクラスの中で一番人気が無いとなれません。それを達成するまでには結構な努力が必要だと思います。それに対して会長以外の役職は全て会長個人の推薦で任命されています。それはどう考えても不公平だとは思いませんか?」
「でも、これは学園のルールだからねぇ……」
「ハハハハ、本当ね!! その一年生の言う通りじゃないのか!!」
ん? 何か後ろの方から賛同の声がするぞ。
「武田さん、静かにしていただけないでしょうかぁぁ? 徳川さんの話が聞き取りにくくなりますのでぇぇ!!」
「何を言っている、羽柴副会長!? アンタは聞き取りにくいんじゃなくて耳が痛くて聞きたくないだけじゃないの? ハッハッハッハ!!」
うわーっ、またまた濃いキャラの人が現れたぞ。しかし、この学園の奴等が『人気取り』の為に思っていることをあまり言わない感じなのに、この武田っていう人は周りの目を気にせずに思ったことをストレートに言うタイプなんだな?
まぁ、俺としては『嫌いじゃないタイプ』の人間だけどな。
「た、武田さん!! 失礼なことを言わないでくださいよぉぉ!! 私は徳川さんの話の途中に割り込まないでくださいと言っているだけですよぉぉ!!」
「武田さん、『会長』の私からもお願いします。徳川さんの話を最後まで聞いてから意見を言っていただけると助かります」
「フン、いちいち『会長』を強調するんじゃないわよ……まぁ、いいわ。とりあえず一年生の話を聞こうかしら」
「そ、それでは徳川さん、つ、続きを話してくだちゃい」
プッ、さすがに後醍さんも羽柴さんの胸を見ている場合じゃ無くなってめっちゃ焦って噛んじまったよな。
「はい、私からの提案は三期連続『クラス委員長』になった人は無条件で『生徒会役員』にも兼務で就任することができるようにするというのはいかがでしょうか? これなら苦労して三期連続『クラス委員長』になった甲斐があると思われますが……」
お――――――――――――――――――っ!!!!
会場がどよめいたぞ!!
しかし、徳川伊緒奈、お前は今、とんでもない提案をしたんじゃないのか?
徳川の提案は、どう考えても織田会長の推薦で就任している『現生徒会役員』を敵に回す様なことになるんじゃないのか?
――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
徳川の意見とは『クラス委員』と『生徒会役員』との不公平を訴えると共に、三期連続クラス委員になった人は無条件で生徒会に入るということだった。
どよめく参加者達……
この案に対し現役員に徳川が嫌われるのではないかと心配になる颯だったが……
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
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