第2章 クラス委員長選挙編
第6話 人気投票
クラスの自己紹介も無事に終わった。
当然、俺は『竹中颯です。よろしくお願いします』としか言っていない。
『陰キャ』の俺が気の利いた事を言うはずないからな。
しかし他の奴等はさすがだ。
さすが『人気取り集団』だ。
気の利いた事を言いまくっていたよな。
お陰で自己紹介だけで一体、どれだけの時間を費やしたんだ!?
特に
生い立ちまで話そうとしていて黒田先生に止められたくらいだからな。
まぁ、外部入学で友達が一人もいないから他の奴よりもアピールをして自分を知ってもらうことは大事だろう。でも余計な事をしゃべり過ぎだ。
ただ、クラスの奴等にそれなりにウケていたのは事実だから、前田はそんなに時間をかけることなく友達は沢山できるだろう。
そうなれば俺はお役御免だな……
もう少し我慢をすれば俺は理想通りの学園生活をおくれるはずだ。
「最後に一つだけ皆さんにお伝えする事がありますよ~」
「颯!! 何だろな!?」
うるせぇし、しつこいし、前を向け!!
どうせ俺に話しかけてくるのは今だけだろうが!?
「一週間後にクラス内で『人気投票』を行いますよぉぉ。そして見事、一番票が多かった人に栄えある『クラス委員長』になってもらいま~す!! この『クラス委員長』というのは生徒会とのパイプ役にもなる大事な役になりますよぉぉ」
黒田先生、今とても軽く言いましたよね?
たった一週間で早くも『人気投票』をするのかよ?
それも一番人気の人が『クラス委員長』になるなんて……
誰もそんな面倒くさい役なんてやりたくないだろ?
「颯!! 俺、委員長やりたいから俺に一票入れてくれよな!?」
前田俊哉、お前は変わった奴だな?
よくもまぁ、そんな役を好き好んで……
「わぁ、私……委員長やりたいなぁ……」
「ぼ、僕も委員長をやりたいよ……」
何なんだ、このクラスは!?
『人気取り』にも程があるだろ!?
「みんな『クラス委員長』になることに前向きみたいで先生、とても嬉しいわ。さすがは『仙石学園』の生徒さん達ね。そして、さすが先生の後輩達だわぁぁ」
えっ? 黒田先生はこの学園のOGなのか?
「黒田先生、一つ質問させていただいてもよろしいですか?」
えっ? 俺の右隣りの女子が黒田先生に何か質問するみたいだぞ。
ってか、前の席の前田俊哉ばかりに気を取られていたし、自己紹介の時は窓の外を見ていたから俺の右隣りが女子ってことに全然、気付いていなかったぞ。
それにしても、なかなかの美少女だな。
座っているからスタイルは分かりにくいけど、顔は丸顔で目は大きくて口は小さくて、髪型は桃色がかったセミロング……そして俺が見た限り、この女子はクラスの中で一番『品』のある女子に見える。
で、この女子の名前は何だったかな……?
「はい、えっと……あなたは『
ふーん、この女子の名前は徳川伊緒奈って言うのか……
「投票のことでご質問をさせていただきます。その投票は無記名で行われるのでしょうか? (ニコッ)」
えっ!?
何だ、何故、質問の最後に怪しげな微笑みを俺に向けたんだ!?
「徳川さん、とても良い質問だわ。実はこの学園での全ての投票は無記名ではありません。全て投票者の名前を記入してもらいますよぉぉ。理由は簡単です。自分自身に投票させない為ですよぉぉ」
なるほどな。
『人気取り』の事ばかりを考えている奴等が多い学園だからな。そりゃぁ一票でも多く自分に票が欲しい奴は自分に投票するだろうな。でも……
「でも、それでは誰が誰に投票したかがバレてしまい、投票する側としてはあまり良い気持ちでは無いですね? ねっ?」
えっ?
何でこの子は最後に俺の顔を見ながら『ねっ?』って問いかけるんだ!?
でも、さすがは徳川伊緒奈だ。的を得た質問だよな。
まぁ、今日初めて知った女子だから何がさすがかは分からないけど……
「フフフ、徳川さんの気持ちもよく分かるわ。でも大丈夫ですよぉぉ。この学園の『投票部』と教師達は口が堅い事が取柄ですから!!」
口が堅いのが取柄だと言われても信用できないし、誰も安心なんてできる訳無いだろ!?
「へぇ、そうなんですねぇ? それはとても安心ですね……ねっ?」
そんな説明だけであんたは安心できるのか!?
ってか、何で最後は俺に問いかけてくるんだよ!?
――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
遂に颯達、一年生にとって初めての『人気投票』が始まる。
それも一番票が多いものが『クラス委員長』になるということらしい。
そんな中、颯の右隣りの美少女が黒田先生に質問をするが、颯いわくクラスで一番品がある美少女。
そして、この美少女の名前は『徳川伊緒奈』というらしい。
果たして彼女はどんな女子なのか?
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
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