第37話

 お仕事が入ってない上に日曜日だから、本当に何も予定がない日が出来た。クラスメイトは習い事等があるらしく、珍しくソロ活動だ。


「そうだ!釣りをしよう!」


 最近見たアニメが女の子達が釣りをするという物だったせいか、釣りに興味が出たのだ。近くの自然公園に湖があるからそこでやってみよう。釣り道具は行きながら買った。


 この湖はフナとかがいるらしい。暇そうなお爺さんが教えてくれた。


 小魚の形をしたルアーを糸に付けて放つ!・・・飛ばしすぎた。湖の向こう側の岸まで飛んじゃった。リールを巻いてルアーを湖に引っ張る。あ、食いついた。凄い遠いんだけど。


 手で回すのが面倒だから超能力・・・いや、風魔法で回転させてみよう扇風機みたいなイメージで。ギュイイイイイインって煙出そうなくらい超高速な回転してる。魚の抵抗なんて許さないくらいの牽引力だ。釣れた!なんでか魚がグッタリしてるけど釣れた!


 『な、何が起こったんだギョ?ご飯を見つけて食べたと思ったら口を引っ張られたギョ!ビックリしたギョ~!』

「うわっ!魚が喋ってる!」

『人間が魚語を喋ってるギョ!!』

「こっちが魚語を理解したのかな?色々な言語の勉強してるせいかな・・・」

『早く水に戻すギョ!こちとらエラ呼吸ギョ!』

「あぁごめん。」


チャポン


『今度から気をつけるギョ!その食品サンプルみたいなのじゃなくて本物の虫を使うギョ!釣られた上に偽物のご飯じゃ踏んだり蹴ったりギョ!』

「うん、ごめんね。一応ゴカイとかいうミミズの亜種も持ってるからあげるよ」


 喋るフナに何匹かゴカイをあげて許してもらえた。意思疎通出来る生き物を釣るのは気が引けるなぁ。ザリガニとかにしようかな。


 糸にゴカイを結んでザリガニがいそうな石が沢山ある浅瀬に垂らしてみた。


『うよー!美味そうなミミズちゃんじゃーん!』

『ひぃ!や、やめて!!あたいを食べる気なのね?!た、助けて!助けて!!』


「・・・ゴカイの声まで聞こえ始めたんだけど。」


『人間の娘!あたいは旦那と息子がいるのよ!こんな所で死にたくないの!』

「ゴカイは卵を生むと同時に親は死ぬはずでは?」

『・・・生き別れの兄弟が!』

『もう食って良い?もう腹ペコなんだ!』

「良いよ!」にっこり


『ぎゃあああああ!』


 ゴカイは食われた!そして釣りは諦めた!

 


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