第17話 お宅訪問
「アリー!シェリー!ココ!あ、あとユズリア様も、どうぞいらっしゃい! 」
輝くばかりの笑顔で出迎えてくれたのは、レティ。
そう、先日のお茶会で約束した通り、今日はレティのドレス制作だ。
ココとシェリーも興味がありそうだったので、連れてきた。
いつの時代も、乙女はファッションに敏感なのだ。
ちなみに、ユズもしれっとした顔でついてきている。
私としては女子会的な雰囲気でドレス制作をやりたかったので置いていこうとしたのだが、驚くべきことにレティがユズも一緒で大丈夫と言ってくれたのだ。
若干強ばった顔をしていたので、本当にいいのかと確認したのだが、大丈夫との一点張りだったので連れてきた。
ユズが何か失礼な事をしたのなら、遠慮なく追い出す気満々だけど。
「お邪魔させていただきますわね」
「お、お邪魔いたします」
レティに挨拶する私とココ。
そして、何故かコクリ、と頷きだけして入るシェリー……とユズ。
ねぇ、シェリーはギリギリ良しにしても、ユズ、あなたそれ失礼過ぎやしないかしら?
無言でユズの足を踏みつける。
が、スッと避けられたので、バランスを崩して転びそうになる。
元凶は素知らぬ顔。
そんな私たちの様子に気付いたのか、レティはクスッと笑う。
恥ずかしくなったので、今日のところはここまでにしておいてやる。
レティのドレス制作を行う部屋に着くと、私の見知った顔が。
「まぁ!アリア様ではありませんか! 」
「あら、本当ですわね、お久しぶりにございます、アリア様」
そう、前回のお茶会で私のドレスを作ってくれた、ビオレッタさんとマーレットさんだ。
レティの方を向くと、レティはイタズラが見つかった子どものように茶目っ気たっぷりに、
「せっかくなら、アリーの懇意の仕立て屋の方がいいでしょう? 」
と笑った。
確かに、ビオレッタさんとマーガレットさんなら、私がどんな奇抜なデザインを出したとしても、一考の価値ありとして、はなから拒絶したりはしないだろう。
しかし、そんな細やかなことにまで気を使えるレティは、いい女だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます