美女との出会いは薔薇色に染まると思っていた自分を殴り飛ばしたい
「貴様!!!! 何をしている!!!」
女性のような高い声が聞こえたと思った瞬間、狼は動きを止めた。すると、狼の腕はいつの間にかなくなっており血飛沫が舞う。
「…………は?」
何も分からない俺は、横に倒れる狼を見続けるしか出来なかった。
「全く。何をしているのだ貴様、死にたがり屋か?」
狼の上から声がし、俺はゆっくりと顔を上げると美女が倒れた狼の頭の上で、刀を構えて立っていた。
黒く長い髪を後ろの上で赤い紐で結び、服装は浴衣……いや赤い着物を気崩して着ていた。
右側の袖は腕に通しておらず、中には黒いインナーを着ていた。
靴はロングブーツを履いており着物なのだから当たり前なんだけど、生足がチラチラと見えており目のやり場に困る。
そして何より気になるのが…………。
「むっ、胸が……でかっ!!!」
「どこを見ているのだ貴様!!!!」
俺の呟きは美女に届いていたらしく、途中で右頬を殴られてしまった。女性とは思えないほどの力に俺は吹っ飛ばされてしまった。
「あっ、貴方は一体何者でふか……」
鼻血が出てしまったため、顔を抑えながら質問した。すると、腕を組みすごく偉そうに美女は高々と答えた。
「私の名は
神楽坂四季と答えた美女は、偉そうな態度はそのままに俺に目線を送った。
その目線に『軽蔑』という2文字が混ざっていたのは気にしないことにしよう。
「俺は………、人間です」
「殺されたいらしいな」
「冗談ですごめんなさい!!!!!!」
首元に刀を突きつけられ、俺はプライドなどを全て捨てて土下座した。
「何者って言われても俺にもよくわかんねぇんだよ。なんでここにいるのかも、何でこんなことになっているのかも」
俺の言葉を聞き、四季はなにか考える素振りを見せた。すると突然、俺に突きつけていた刀を下ろし背を向けた。
「まぁ、貴様がどうなろうと私の知ったことではない。だが、ここでお前をほっておいて次にここに来た際に死体が転がっていたら後味が悪い。私で良ければお前のそばに居てやろう。感謝するが良い」
その言葉に俺は目を輝かせ、勢いのまま四季の手を掴みお礼を言った。
「ありがと四季!!!! 俺を元の世界に戻してくれ!!!」
「っっっ!!!!! 気安く私に触るな!!!!」
お礼を言ったはずだが、何故か俺は先程と同じく頬を殴られ鼻血を出してしまった。
「お前は礼儀と言うものを知らないらしいな。調度良い、それについてもしっかり叩き込んでやろう」
四季の殺意に近い目に、俺はこれからどうなってしまうのか分からない不安と、生きていくことが出来るのかという恐怖感によりまたしても冷や汗が止まらなくなってしまった。
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