帝国28番目の図書館

足駆 最人(あしかけ さいと)

暗い空の下で

ただ、彼は歩いていた。

どこへ向かえばいいのか、ここがどこなのかすらわからない。

見たことのない服装の人間。

見たことのない建物。

感じたことのない足の感触。

触れたことのない風。

周りの人は彼に見向きもしない。

ただ、見たことのない空を見上げながら、彼は人混みの中を虚ろに歩き、かつての場所を目指す。

ここはどこなのかを、彼は自分に問い続けた。

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