第27話 吸血鬼○○○の流浪4
うち捨てられた廃村のような所。家屋・建屋は小屋を入れても全部で6つしかない小さな集落。どの家も壁か屋根が崩れていて誰も住んでいない。一番マシに見えるそのうちの一つに連れられた。外からは分からなかったがここだけ内側から壁・屋根の穴を塞いであるらしい。
ショタ「それ食ったら今日はもう寝ろ。話しは明日やる」
そういって奴隷主となったその子は食べ物だけ置いてまた外に外出してしまった。私は言われた通り食べて、寝た。
●
朝。
起きると奴隷主の子はもう戻っていて家の隅、暗がりに居た。私は慌てて眼前に平伏して
女 「だ、旦那様。この度はお引き取りありがとうございます。水運びでも畑でもなんでも精一杯やりますので、どうか末永くお仕えさせていただけますようお願いいたします」
その子は表情ひとつ動かさず私を見ている。
ショタ「まずはメシ食え。お前痩せすぎだぞ。その後は……その甕<かめ>」
昨日置かれた食料の詰まった籠の隣に空の水甕があった
ショタ「その甕、水で一杯にしとけ。飲める水でだぞ」
それだけ言うとまた無表情で黙った。
女「え、ハイ、いえ…かしこまりましたっ!」
一通り家捜ししたがこの家には大した土器が無く、結局手桶サイズの水差しで運ぶことになった。近くに井戸・水路の類いも無く、川まで往復するしかなかった。その間旦那様はずーっと私のその様子を眺めていた。甕いっぱいにするまで丸一日かかった。今日はこれしかしていない。初日から怒られそうだなあ…。
ショタ「終わったか?その水甕はお前用の飲み水だ。終わったらお前のメシはこの辺(室内)のやつ好きに食え。食ったらもう寝ろ。いちいち僕を伺うな」
そう言って旦那様は日が落ちると同時にまた飛び出して行きました。水甕横の籠に詰まった食べ物は上等なものばかりで堅焼きパン(無発酵)、野菜や果物、干した肉までありました。竈<かまど>は壊れたままだったのでその日は全部生で食べました。肉なんて自分で捕った小動物しか知らない私には、この日が生まれて初めて食べたまともな肉です。
翌朝。起きると旦那様がまた暗がりに居た。いつ帰ったんだろう。
女 「おはようございます。何か召し上がりますか?と言っても火は使えませんけど」
ショタ「火種が無いのか?」
嫌味とかではない純粋な問いに聞こえた。
女 「いえ、そこの壊れたかまどを直さないことには…お食事を作るなら竈を直して、燃料も用意して、あとその他道具も必要ですかと…」
おっかなびっくり訊いてみる
ショタ「お前はどうなんだ。それが欲しいのか?」
女 「えっ?えっと……欲しい…です…」
そう言ってみると旦那様が小さな布袋をよこす。中はショケル通貨でぱんぱんだった。
ショタ「それで揃えろ。あと身体を洗ってきれいな服も買え。お前臭うぞ」
急に恥ずかしくなった私は朝も食べずにその足で川に行って洗い、街に行って物を揃え、戻って竈も直した。
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