暇な時に作った小話

ガンジャ院

えなじぃどりんく

 江戸に住む2人の町人が、なにやら話をしながら歩いている。


「太郎三郎や。さっきから気になっとったんじゃがあんた、その右手に持ってある緑色のは、一体なんなんだい。」


「あぁ、これかい?こりゃあ、えなじぃどりんくちゅうモンじゃ。なんでぇ太右衛門。そんなことも知らねぇのかい」


「ああ、初めて知った。…それは、巷で流行っとるんか」


「てやんでぇべらぼうめ!今巷で大流行りさ、鬼のように売れとるらしい」


「なんじゃ、その鬼のようにたぁ。それも初めて聞いたぞ」


「太右衛門や、あんた遅れてるよ…そんなお前さんには…えぇと、なんて言ったか…確か、おーどぶるだったか… 」


「…何やら分からんがそれを飲めばおいらも流行りに追いつけるのかい?」


「なにやら、翼が生えるらしい…」


「翼が?こンれまた面妖な…。ちかごろの町じゃえらくハイカラなモンが流行っとるようじゃ。」


「こんだけ流行ってんだ。お前さんも何か一つぐらい知ってるんじゃないかい?」


「ふぅむ、えなじぃどりんくなんて初めて聞いたもんだが…まてよ、そう言えばお役人様がなにやら話しておった気がするな」


「お役人様が?お上さんの間でも流行っておるのかえ」


「なんでも、ZONe ver 1.0.0っちゅう名前らしい」


「…ぞ、ぞーんばー…なんちゃらっていうのかい。…あぁ知ってるよ。」


「ほんとうかよ太郎三郎。 怪しいなァ…飲むとどうなるのかちょっと言ってみておくれよ」


「ほらァ、あれだよ…あっそうだ、なにやら取り組みで白星を上げたお相撲さんがボソッと言うのを聞いたよ」


「なんて言ったんだい」


「…ゾーンに入っておるでごわす…ってな感じでよ。ありゃあ、組取り前に飲んでてもおかしくないぜ」


「なんだいそれは、駄洒落じゃないか全く。それで、飲んだらどうなるんだい」


「そりゃあ、白星を上げてるんだからな。なんかこう、強くなるんじゃあないのかい?なにやら集中力なんかが上がった気がするんだよ」


「ほう、そんなに良いモンならわしも飲んで見たいね。その鬼のように売れとる緑色のはなんて名前なんだい?」


「…そりゃあんた、モンスターってぇんだよ」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る