第14話 宇宙開拓にありがちなこと
地球が再び氷河期を迎えたことにより、人類は地底で雪解けを待つか宇宙へ逃げるかどちらかの選択を迫られた。
そして我が国は後者を選んだ。
幸い、移住先の惑星の目星は付いていた。地球からそう遠くない惑星系に地球とよく似た惑星があることが確認されていたのだ。
各界の権力者たちがその星へ安全に移住できるよう、調査・開拓のため我々は先んじて星の海へと飛び立った。
──そして数十年の歳月が経った。
『コールドスリープ解除。おはよー☆ おきて♪』
どうやら目的の星に着いたようだ。
まるで普通に眠り、朝を迎えたかのような感覚だった。地球を飛び立ってからそんなに長い時間が経ったという実感が湧かない。
だがこのまま呆けてもいられない。使命を果たさなければ。我々は人類の希望を託され、この未開の惑星へと降り立ったのだから……
『数十年前の宇宙船、無事セカンドアースに到達』
*本日未明、数十年前に地球を飛び立った宇宙船『アフロ・サーティワン』が、無事この星に到達しました。
*この宇宙船は宇宙開拓のため出発した宇宙船の第一号でしたが、その後すぐに、より安全でより高速でより快適な宇宙船が開発されたため、その到着を待つことなく、この星の開拓は計画を前倒しして行われました。
*今や地球とほとんど変わらない環境となったこの星を見て、彼らはさぞ驚いたことでしょう。
*かつて人類の希望を背負い飛び立った勇敢なヒーローたちの帰還を、どうか皆さま盛大な拍手を以て迎えてください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます