また君に会いたくて。
赤坂 葵
プロローグ
私は冬が嫌いだ。一人で過ごす冬も、誰かと過ごす冬も。
冬が嫌いだ。けれども、他の季節が好きというわけではない。
春は花粉で辛いし、夏は暑い。秋も花粉で辛い。そして冬は寒い。
一年を通して、私の好きな季節は存在しないのだ。
もう少し人類に、いや私に、快適な季節を与えてくれてもいいと思う。
いつもそんなことを考えながら過ごしているが、季節で一番嫌いなのは冬だ。特に冬の朝が。一日の始まりが、こんな辛いのはおかしいと思う。
そして、この季節は布団が恋しくなる。本音を言うと、布団から出たくない。布団を身に纏ったまま学校に行きたい。布団は最強だ。I love Futonと叫ぶレベルだ。
私は布団を推している。そのせいで、知り合いからは布団愛好家という異名を付けられてしまった。如何にも、私が布団を溺愛しているような呼び方だが、そういう感情はこれっぽっちもない。
そして私は、今日も寒いだろうなと思いつつ時計を眺める。
そうこうしているうちに、時計の針は家を出なければ行けない時間になってしまっていた。
早歩きをしつつ、眠い目を擦りながら靴を履き、外に出ようとドアノブに触れる。
すると静電気が私の眠気を覚まそうと、手に刺激を与えてくる。
眠気が覚めると同時にため息を吐き、もう一度ドアノブに触れ、ドアを開く。
外は中との気温差が激しく、思わずドアを閉じてしまいそうになった。
肌を刺すような寒さの中、私は家を出て学校に向かおうと、外の世界へ足を踏み入れる。
もう一度言おう。私は冬が嫌いだ。
誰が何を言おうが、世界が変わろうが、冬が嫌いなのは、私にとっての決定事項である。
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