谷中 鶯

第1話 「目」

鏡に映った目と目が合わない

死んだ魚のように横を見て動かない目

めんたまに映る薄い光は

こっちの目なのか

あっちの目なのか

光が目と目を吸い寄せた


沈黙の目の無言の会話


私は背筋がぞぞぞっとしたのを覚えた

このままでは鏡の中に引き寄せられてしまうと


いやいやいやいや

死ぬのいや


私は何本もの薄い光の筋を

絶ちきって

夢中で薄い光から放れようとした


けれど、光は後から後から降ってきて

容赦なく追っかけて来る


ああ、ダメだ

ダメなんだな

どんなに頑張っても

死からは逃れられないのだな

生き物は




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

谷中 鶯 @uguisuyanaka

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ