第6話 無瀬 チャイさん作
「ネコです」
「は?」
「ネコです、よろしくお願いします」
あぁー、こちらこそよろしく……なんて流れになるはずもなく。青年は一糸纏わぬ少女の小さな肩を掴み前後に振った。
「名前だよ名前、お前の名前だ!」
「うるせぇッー!」
小さな拳が男の顎に直撃し宙を舞う。その後、信じられないような跳躍をしたあと、再び後頭部を床に叩きつけた。
「いってッ!」
「名前……」
少女は、倒れた青年の腹を挟む様にして立っていた。目が据わっているのは気のせいだろうか?
少女と青年の立場はドラマチックに入れ替わり、何て言うことでしょう、という枕詞を挟んでも緩和されない刺激的な光景になった。
なぜ刺激的か、それは少女の手に包丁が握られているからだ。
「分かった! 分かったよ!! ネコ、ネコで良いんだな!」
「名前……」
少女は何か物足りない様に刃先を揺らした。
「……俺の名前か」
こくこくと少女がうなずく。
「
そういうと少女は作田から離れ、包丁をしまい、炊飯器から米を皿に盛り、コンロにある鍋からカレーを掬って注いだ。
「……なあ、もう一ついいか」
「……なに?」
「そのカレー、どこから?」
「……公園」
その後、ニュースで炊き出しが公園から忽然と消える怪現象をキャスターが報道するのを食べながら見ていた。
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