3

「元気そうでよかったよ。雨にも濡れてなさそうだし」


「あなたはびしょびしょだね」


「俺は気にしなくていいんだ。帰って風呂入れば別に」


「そっか」


「なあ」


「うん?」


「死ぬなとは言わんよ」


「うん」


「最期のお別れの挨拶が好きでしたは、正直きつい」


「うん?」


「もっとさ、なんかこう、いいフレーズは思いつかんのか」


「死ぬから。好きだったから。それだけ」


「ああそうですか。この雨のなか探した俺がばかだったよ」


「わたしを探しに来たの?」


「いや、いいよ。忘れてくれ。じゃ、またな。いや、これから死ぬやつにまたなってのもおかしいか。じゃあ、ええと、じゃあな」


「うん。じゃあね」

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