コッペパンと少年
女神なウサギ
第1話 コッペパンと少年
あるところに一人の少年がいました。
少年は貧しくて食べ物を買うのも苦労していました。また、とても優しい人でもありました。少年はやっとのことで買ったコッペパンを1斤持って急いでいました。
しばらく行くと男の子とお母さんに出会いました。
「お母さん、お腹すいたよ」
「ごめんね。買うお金が無いのよ」
「あの、これ、あげます」
「良いんですか?ありがとうございます」
コッペパンが少し無くなりました。
またしばらく行くとおばさんに出会いました。
「困ったねえ。孫に会いに行くのに土産がないよ」
「これ、良かったら」
「ありがとうございます!これで孫が喜んでくれる」
コッペパンがまた少し無くなりました。
もうしばらく行くとおじいさんに出会いました。
「 私も今日が最後の仕事だ。だが、空腹で動けん。どうしたものか」
「 これ、良かったら」
コッペパンはとうとう無くなりました。
「ウェンリー! ウェンリー! 」
ウェンリーは少年が飼っている犬です。
少年にとって自分より大切な存在なのです。
「ウェンリー、ごめんよ。食べるものが無いんだ」
ウェンリーは少年の頬を優しく舐めました。
この全てを神様は見ていました。哀れに思った神様は空から一粒の種を落としました。
種はやがて芽吹き沢山のコッペパンを実らせました。そしてこの木はいつまでも枯れることがありませんでした。
こうして人々は食べ物に困ることがなくなり、幸せに暮らしました。
コッペパンと少年 女神なウサギ @Fuwakuma
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